本システムは廉価な通信用光ファイバを使用し、構造物に沿わせた光ファイバ両端から周波数の異なる変調された光を挿入します。対向する周波数の異なる光が同期する場所でのみ強い散乱光が発生します。また、光の変調周波数を変化させると、散乱光の発生位置を任意に高速で変化することができるため、短時間で高精度な計測が行えることになります。そのときのふたつの光の周波数差を分析することで、ファイバ全長のどの位置にひずみが生じたかを高い精度で特定することができます。
計測原理
通常時は構造物の中央部等で動的ひずみの計測と固有振動数を常に監視していますが、地震や経年劣化等の影響で固有振動数に変化が有った場合、自動的にファイバ全体のひずみ分布計測に切り替わります。これらの結果は、初期値と比較され、その位置の構成材料や重要度を検討した結果、有意な“変化あり”と判断された場合、インターネット経由で担当者にメールで通報されます。また、必要に応じて監視位置を自由に移動することができます。
BOCDA方式による健全性診断フローを下図に示します。
健全性診断フロー
クリックすると拡大されます
|
今回開発したBOCDA方式と従来の3方式のモニタリングシステムを2005年3月から1年間、秋葉原駅前の公共デッキ主桁部に適用し、数々の実証実験を行い本システムの実用性を確認しました。
モニタリングシステムの構成
本システムの主な特長は以下の通りです。
1.健全性を詳細に診断可能
入射する光の変調周波数をコントロールすることで、ひずみが発生している場所をセンチオーダーで特定することができます。このため基礎や地中の構造物等、目視できない場所等に対しても健全性を詳細に評価できます。
2.健全性を瞬時に診断可能
光ファイバの両端から連続した光を対向することで、常時強い散乱光が発生するため、従来まで必要であった繰返し計測の必要がありません。このため瞬時にひずみを計測し、健全性を迅速に評価することが可能です。
3.高いシステム自由度
ファイバ全長のどの位置でも動的計測が可能な唯一の技術です。リニューアル等により構造上変化があった場合にも監視位置を自在に変えることができるので、光ファイバを設置しておくだけで自由度の高いシステムが構築できます。