鹿島(社長:中村満義)は、京都大学の青木謙治教授と共同で、TBM(Tunnel Boring Machine)工法における切羽前方の地質状態や地山に応じた支保パターン
注1をリアルタイムに評価・選定するシステムを開発しました。このほど京都府道路公社発注の「宮津第12トンネル工事」において本システムを搭載したTBMで避難坑の施工を行い、トラブルなく掘削を完了しました。
注1:掘削後の地山の安定を保つために行う支保工(鋼アーチ支保工、吹付けコンクリート)で、地山の状態により
いくつか組み合わせのパターンがある
TBM工法はトンネルの高速掘進が期待できますが、崩落や大量湧水などの地質トラブルが一度発生すると、工程に影響を及ぼし、結果として高速掘進性能を発揮できない場合があります。このため、施工中の切羽前方の地質状態をいち早く把握し事前に対策をたてることは、安全で合理的な施工を進める上で必要不可欠となっています。鹿島はこれまでに「削孔検層システム」注2や「TRT探査」注3、「TBMナビゲータ」注4といった切羽前方の地質状態を観測する独自の技術を開発し、多くの実績をあげてきました。しかし、個々のシステムで得られた情報を統合して施工へ反映させるには、専門的な知識、経験が必要であると同時に分析時間も多くかかるという課題がありました。
そこで今回、既存システムで得られた様々なデータを多変量解析注5や地球統計学注6を用いて一括処理し、より高精度に地質状態や支保パターンを予測するシステムを開発しました。これらの分析手法を実施工中のTBMの地質予測に適用した例は日本で初めてです。
注2:パーカッションドリルの削孔時に得られる油圧データから、岩盤の硬さを表す破壊エネルギー係数を算出す
るシステム
注3:人工振動の反射波を利用し、切羽前方の不連続面の位置と幅を予測する探査手法
注4:TBM掘進時に得られる推力、トルクなどの油圧データや掘進速度、TBM機体の姿勢制御、線形測量を一括
して行うTBMの掘削管理システム
注5:多数のデータの相関性を統計学的に分類し、複雑なデータを簡単に表すことができる統計処理手法
注6:主に石油など埋蔵場所を予測する資源探査で活用されているもので、既知のデータを分析し、ある箇所の
未知の値を推定する手法
本システムでは、削孔検層で得られた切羽前方30m〜40mの地質データやTBM掘削時に得られる大量のデータを新に採用した分析手法を用いて即座に分類・解析し、切羽前方の地山における脆弱部出現の確率や地質に応じた支保パターンなどの分析結果を分かり易くTBMのモニターに表示します。
これにより、従来TBMテールから地山が出現した後に、坑壁観察をしてから決定していた支保パターンを前もって選定・準備し、地山が現れたと同時に適切な支保を建て込むことが可能となりました。