鹿島(社長:中村満義)は、ドリルマシン株式会社(社長:永井敏実、本社:東京都荒川区)と共同で空気の力を利用した削孔工法「WALDIS(WaterLess Drilling System,ウォルディス)」を開発しました。
都市部のような地質・地形の悪い場所で、山岳トンネル工法を用いてトンネルを構築する場合には、地山のゆるみ防止や切羽安定、地表面沈下防止のため、補助工法としてトンネル切羽前方の上部や脚部の補強することが一般に行われています。この補強は、ドリルジャンボという建設機械を用いて地盤に直径約10〜12cm、長さ約3〜12mの孔を削孔し、同時に鋼管等の補強材を挿入します。そして、鋼管内部からセメントなどを注入して地山を安定させます。これにより安全にトンネルの掘削をすることが可能となります。
一般に、ドリルジャンボを用いて削孔し鋼管を挿入する場合、鋼管(外側の管)とインナー管(内側の管)の二重管で削孔します。その際、削孔水と呼ばれる水を、インナー管を通して先端に送ります。これは、先端の掘削用の刃に土が詰まるのを防止すると同時に、掘削時に発生する土を排出するためです。インナー管から送られた削孔水は、土と共に鋼管の外側及び鋼管とインナー管の間を通って、排水される仕組みとなっています。しかし、この方法は大量の削孔水(毎分約70リットル)を使って削孔するため、地山が緩い場合には周辺の地山を劣化させてしまうと共に、予定された直径以上の孔が空いてしまい注入材となるセメントなどが十分に充填されない場合があります。その結果、地山のゆるみ防止や切羽安定、地表面沈下防止のための補助工法として必要な強度を得られていないことがあり、薬液注入等の対症療法的な処置を取るケースがあります。
そこで、当社では、これらの問題を解消するため、水の替わりにエアー(空気)を用いることを考案し、水を使わずに削孔できる工法「WALDIS(ウォルディス)」を開発しました。本システムは、九州新幹線新田原坂トンネルにて、試験施工(2006年6月)を行い、削孔水を用いた場合の課題を全てクリアしていることを確認し、同工事における本施工(2006年7月〜8月)にも適用しました。
今後、当社では、本システムを積極的に提案し、安全・確実なトンネル構築を行っていきます。また、総合評価落札方式等の技術提案型案件に対しても、積極的に技術提案を行ってく予定です。