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東日本大震災における鹿島の取組み

宮古市田老地区 まちづくり事業

新たな「防災の街」の一日も早い復興を目指して

岩手県宮古市は、リアス式の美しい海岸が続き、鮭の水揚げ量が多く「鮭の町」として有名です。また、宮古市田老地区はかつて明治や昭和の三陸津波で被害を受けてきたため、日本一ともいわれる防波堤を築いた「津波防災の町」として知られていました。しかし、東日本大震災で再び津波に襲われ、大きな被害を受けました。

鹿島と大日本コンサルタントで構成する共同企業体(たろうまちづくりJV)は田老地区復興整備事業において、宮古市と事業を行う都市再生機構(UR)から業務実施者に選定されました。調査、測量、設計及び施工の一体的なマネジメントを実施(コンストラクションマネジメント(CM)方式)することにより、事業の早期着手と円滑な促進を図り、関係機関や地元の皆さんの協力を得ながら、鹿島の総合力を活かした復興まちづくりを行いました。

図版:イメージ

業務概要

宮古市田老地区震災復興事業の工事施工等に関する一体的業務

事業者
宮古市
発注者
独立行政法人 都市再生機構
受注者
鹿島・大日本コンサルタント宮古市田老地区震災復興事業共同企業体(たろうまちづくりJV)
業務内容
調査、測量、設計及び施工の一体的マネジメント
工事概要
(1)早期整備工事
(三王団地) 整地面積約25ha 土工事量約100万m3 伐採工、法面整形4.2ha 
工事用道路・防災仮設工・地区外仮排水路・軟弱地盤改良一式
工期 2013年6月~2015年3月
(2)次期整備工事
(三王団地) 宅地整備面積約25ha
道路工、橋梁工、排水工、公園・緑地、上・下水道等一式 工事用道路・防災仮設工一式
工期 2014年5月~2016年3月
(区画整理) 宅地整備面積約19ha
既存構造物撤去、道路工、排水工、公園・緑地、上・下水道等一式
工事用道路・防災仮設工一式
工期 2013年10月~2016年8月
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完了のご報告

CM方式での街づくり 工期を6か月短縮して完了

2013年6月から三王団地の造成工事が開始され、100万m3もの土を動かす大規模造成工事を行いました。区画整理事業区域は、浸水被害が大きかった市街地で、2014年度から本格的に土地利用の集約化やインフラの基盤整備を行いました。2015年11月には岩手県最大規模の高台団地となった三王団地の整備完了を記念して「田老まちびらき記念式」が行われ、2016年8月に工事は公園工事等の一部を残し無事完了を迎えました。現地には工事の完了を記念して、まちづくり事業に携わったすべての企業名とJV職員全員の名前を記した竣工記念碑を建立しました。

図版:完成した高台の三王団地空撮(2016年11月)

完成した高台の三王団地空撮(2016年11月)

図版:「感謝」と刻まれた竣工記念碑を囲んでの記念撮影

「感謝」と刻まれた竣工記念碑を囲んでの記念撮影

図版:記念碑の裏面にはたろうまちづくり事業に携わった関係者名等が記されている

記念碑の裏面にはたろうまちづくり事業に携わった関係者名等が記されている

工事を率いた斉藤広所長は「震災復興事業という時間的制約の中で、CM方式の採用や地権者・関係機関の多くのご協力を得て早期完成の目標(6か月短縮)を達成することができました。現在、完成した宅地には多くの住宅や公共施設が立ち並び、住民の方々の新しい生活が始まっています。施工に携わったものとして、地域の皆さんの笑顔を見ることが最高の達成感につながっています。工事に関わったすべての皆様に感謝しています」と語っています。

図版:三王団地には多くの戸建て住宅が立ち並び、新たな生活が始まっている

三王団地には多くの戸建て住宅が立ち並び、新たな生活が始まっている

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完成までの流れ

図版:完成までの流れ

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高台の団地と市街地を一体的に整備

田老地区の震災復興事業は、「三王団地」と「区画整理事業区域」の大きく2つの地域の整備を一体的に進めます。「三王団地」は、防災集団移転促進事業として高台移転先の整備を行います。浸水被害が大きかった市街地の「区画整理事業区域」では、土地利用の集約化や宅地・道路のかさ上げ、道路・公園の整備を行います。

2013年6月から三王団地の造成工事が開始され、100万m3規模の土を動かす大規模な造成工事を行い、2015年秋に宅地が完成しました。区画整理事業区域の工事は2014年度から本格的に着手し、国道45号線の振り替え・新設工事と連携しながら宅地のかさ上げや公園・インフラなどの基盤整備を実施し、2016年夏頃の完成を目指しています。

図版:空撮(2016年11月)

空撮(2016年11月)

図版:全体土地利用図

全体土地利用図

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Column 田老まちびらき記念式 開催

2015年11月22日、「田老まちびらき記念式」が、田老地区土地区画整理事業区域内の特設会場で行われました。高台移転団地の整備完了を記念し宮古市の主催で開催されたものです。田老地区では、約25.5haにも及ぶ岩手県内で最大規模の高台団地(三王団地)が計画され、住宅用地161区画や道路、公益施設用地などの整備が完了、一部、個人住宅の建築工事も開始されました。また、一部の災害公営住宅も完成し、入居が始まっています。

式典には、宮古市山本正徳市長をはじめ岩手県達増拓也知事、鈴木俊一衆議院議員らが登壇し、工事関係者や地元の住民の方を含め約300名が出席しました。式典の冒頭、山本市長は全国からの支援への感謝と、これから始まる真の復興への決意を誓いました。

記念式と同時に地域の一大イベントである「鮭・あわびまつり」も開催され、高木復興大臣も駆けつけました。まつりの会場では、田老の特産品である鮭の串焼きやあわびの姿焼き等の屋台が並び、子供たちは大人気の「鮭のつかみ取り」に歓声を上げ、田老地区の新たな門出を賑やかに祝いまいした。

図版:田老まちびらき記念式の模様

田老まちびらき記念式の模様

図版:地元の方や観光客で大賑わいの「鮭・あわびまつり」の様子

地元の方や観光客で大賑わいの「鮭・あわびまつり」の様子

2015年11月

高台団地は、宅地部分を約2か月前倒して完成して引き渡し、2015年10月から一部、住宅工事が着工しています。団地名称も乙部団地(仮称)から「三王団地」に正式名称が決定しました。区画整理地区でも完成宅地から随時引き渡しを実施しており、個人住宅や事業所等の建築が進み、一部入居済みの住戸もあります。

図版:区画整理地区と三王団地をつなぐ幹線道路と橋梁も開通

区画整理地区と三王団地をつなぐ幹線道路と橋梁も開通

図版:宅地造成が完了し、一部住戸の建築も始まっている高台の三王団地地区

宅地造成が完了し、一部住戸の建築も始まっている高台の三王団地地区

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2014年12月

乙部団地(仮称)では、2014年10月末に一次造成工事が完了し、大規模な切土・盛土工事が終了しました。その後は宅地造成工事の仕上げや下水道工、道路工などの二次造成が中心となります。

また、土地区画整理区域では工事が完了した箇所から順次引き渡しを行っています。第一号として災害公営住宅用地の整地が完了し、宮古市により災害公営住宅の準備工事が進んでいます。

図版:乙部団地(仮称) 造成状況

乙部団地(仮称) 造成状況

図版:乙部団地(仮称) 造成状況

乙部団地(仮称) 造成状況

図版:土地区画整理区域 宅地整備状況

土地区画整理区域 宅地整備状況

JVでは現場見学会や視察対応を積極的に実施しており、将来居住予定の住民の方や周辺の小中学生、国の機関や他自治体などこれまでに約1,200人が現場を訪れ、工事の進捗状況を実際にご覧いただいています。

図版:現場見学会の様子

現場見学会の様子

図版:現場見学会の様子

現場見学会の様子

2014年1月

図版:乙部団地(仮称)工事

乙部団地(仮称)工事

図版:区画整理事業区域

区画整理事業区域

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Column 中学校社会科地図帳に掲載

帝国書院が発行する中学校社会科地図に、「震災からの復興のようす」として、たろうまちづくり事業が取り上げられました。これは、中学生用の社会科教材である「中学校社会科地図」の中の東北地方の資料図内に、2016年1月発行の改訂版から新たに掲載されたものです。岩手県宮古市(田老)の震災前と震災後のイラスト地図の比較、震災後の様子としてまちづくり事業が描かれています。

帝国書院の社会科地図帳は95%以上のシェアを誇っており、平成28年度の発行部数は約115万部余り。全国の中学生が学ぶ地図帳にたろうまちづくりが掲載されています。

図版:帝国書院「中学校社会科地図」表紙

帝国書院「中学校社会科地図」表紙

図版:防災をテーマとした資料図として震災前後のたろうの様子が掲載

防災をテーマとした資料図として震災前後のたろうの様子が掲載

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