水曜会:社内講演会の記録
第82回 2015年12月2日(水)
川口 衞川口衛構造設計事務所
オリンピックスタジアムの構造デザイン
28歳、氏が国立代々木第一競技場の構造を設計した年齢である。書籍『構造と感性』が前回のオリンピックからの長きにわたる活動の集大成として発表されたことにあわせて、水曜会では「オリンピックスタジアムの構造デザイン」というテーマで当時の構造と工法への取組みについて伺うことができた。丹下健三、磯崎新をはじめとする建築家との協働では常に設計者と構造家との挑発のし合いとも取れる新技術実現への挑戦がなされてきた。巴形スタジアム、二重吊り橋構造、土星リングジョイント、パンタドーム工法と前人未踏の構造課題を解決するためのアプローチは幅広く、そして小手先ではない設計、構造、工法が一体となった原理的解決方法を実施してきた。これらは「予見力」と「スケール感」を養うことで可能となる。御年83歳となる氏から、年齢や経験はこの二つの能力とは無関係であるという襟を正される想いの力強いメッセージを受け取った。

川口 衞
- 1931年
- 福井県生まれ
- 1955年
- 福井大学工学部
建築学科卒業 - 1955年
- 東京大学大学院入学、
建築構造学専攻 - 1960年
- 法政大学にて教鞭をとる(2002年退官)
- 1964年
- 川口衞構造設計事務所を設立