中庭を囲む技術伝承の場

市川駅から南へ700m、商店街と住宅街の狭間に立地する企業の研修所および社員寮。電気設備工事業界のリーディングカンパニーの同社が、技術の伝承を意図して建替えた施設である。法定容積に対しゆとりある容積率で計画、二つの異なる用途を「中庭」を介して明瞭に分節しつつゆるやかに繋ぐことで、街並みにも、施設にもゆとりあるシークエンスをもたらした。「中庭」は、緑の景観のみならず、防災時の活動拠点、緊急車両停車場、雨水貯留槽のバッファリングなどの機能を併せ持つ。施設内のあらゆる場所から立体的に見通せるこの半公共的な外部空間は、利用者の活動を活性化するだけでなく、道行く人々にも潤いを与えている。研修所の実技実習室は、工事現場の一部をモックアップで教材化することで、身体全体で学ぶ工夫が施されている。