山桜の丘に立つ紙製品製造工場

武蔵野丘陵の豊かな緑に囲まれた、名刺・はがき等の紙製品を製造する工場。新しく造成された工業団地の丘の上に、シンプルな矩形のボリュームが浮かぶ。東西面は名刺のように明瞭な輪郭をもつ白い壁、南北面は周囲の環境と呼応するガラスと金属板によるリズミカルな構成とし、力強い印象に変化と奥行きを与えている。最上階では屋外の設備機器を北側にコンパクトにまとめ、残りの空間を庭園として開放した。見渡す限りの緑の修景を、庇と壁によって切り取りながら植込の緑と連続させることで、内部と外部が一体となった空間を創出している。開かれた眺望の広大な斜面にはヤマザクラ系の品種29種、百数十本もの桜の若木が植えられ、建物の前景となって季節ごとの心に残る風景を創り出すことが期待されている。