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設計担当者のコメント

M-ハウスバンコク

隣人

東郷 裕幸

そのコンペの話を聞き、俄然モチベーションが高まった。何故なら計画地は私がバンコクに赴任して以来住んでいたアパートのすぐ隣の敷地、毎日のようにバルコニーでビールを飲みつつ隣地の豊かな緑を楽しんでいた、まさにその場所だったのだ。建替えに際する要望は「プライバシーの確保」。パーティーの際、隣のアパートからラフな格好で見下ろす輩がいると言う。なるほど、これは設計者として、そしてその張本人として、最善策を提案しなければ!という強い使命感を覚えたのであった。それからというもの、良好な近隣関係を築くことを常に念頭におきながらスタディを重ね、ついにはコンペを勝ち取ることが出来たのだが、隣人の張本人であるとはなかなか言い出せずにいた。設計も中盤に差し掛かった頃、ようやく施主に打ち明けたところ笑い話となり、信頼関係が一層深まったのだった。

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