New Market Planning─ 新市場への参入 ─

室長が語る
キーワード
“Good Listener”

鹿島の「お客様第一主義」は、お客様の真のニーズを把握し、実現するために周到に準備を重ねながらも、「Good Listener」としてお客様のお話を真摯に聴くことを第一の基礎としています。その上で、具体的な土地(空間)の有効活用を実現するための最良のチームを組成し、新たな市場での価値創造に取り組んで参ります。

写真:新市場室 室長
海外事業本部 
新市場室 室長
青木 伸朗Noburo Aoki
建築本部、国際事業本部、シンガポール営業所、ドイツ現地法人、地域統括法人であるカジマ・ヨーロッパ(KE)などで勤務したのち、東京建築支店 営業部長を経て2011年より現職。

どんなときでも
“Good Listener”でありたい!

私は1997〜2007年までカジマ・ヨーロッパ(KE)のロンドン本社に勤務し、PFI事業の組成に関わりました。そのときのエピソードを一つご紹介します。複数の小学校と中学校の建替えをパッケージにしたPFI案件があり、幾つかの企業と競争しながら、数ヶ月間の業者選定ダイアログ手続きを経て契約に至りました。

※ 英国ではPFI事業者の選定に際し、公共にとって最も高い投資対価値(Value for Money)を形成する提案を促すことを目的として、関係当事者のニーズを正確に理解するための協議(ダイアログ)の機会が一次審査を通った企業(複数)に対して一定期間にわたって与えられることが一般的。

その後、業者選定の審査員として参加されていたある小学校の校長先生に鹿島が選ばれた理由をお訊きしたところ、次のようなお話をしてくださいました。

校長先生:

業者選定ダイアログでは、イギリスで小学校をつくった実績のある、複数の会社と面談しました。それらの会社は、先ず最初に自分たちがつくった学校施設の実例を紹介し、「小学校とはこうあるべきです」という講義から打合せを始めました。

それに対して鹿島のチームは、真っ白な紙を広げて「先生は、どんな小学校をつくられたいのですか?」の一言のみで、その後は私の希望や今抱える問題をずっと聴いてくれました。そして、次に会った時には、私たちの考えをさらに正確に理解するために幾つもの案を出して、「我々の理解は正しいですか?」と、改めて聴き続けようとしてくれたのです。その時に、鹿島といっしょに私たちの学校を建てたいと強く思いました。

小学校の施設を取り巻く環境も、子どもたちを預ける保護者たちの期待も、学校ごとに違います。自分たちの小学校のことは自分たちが一番よく知っています。そのことを理解し、私たちが何を一番大事に考えているかを聴いた後で、最後に鹿島は私の子供たちのために一番素敵なプランを持ってきてくれたのです。

私はこのお話を伺って、「お客様第一主義」とは先ず真っ白な紙を持って話を伺う「Good Listener」であることだという考えを改めて強くし、初めての国、初めて会うお客様にも常にそういう態度で接しながら、真の信頼を築いていきたいと考え、チーム組成の基本方針としています。

また、仮にお客様がご自身の持つ大きなポテンシャルに気付いていらっしゃらなければ「Good Listener」としてお話を聴きながら、一緒に可能性を発掘することを大きな喜びにしたいと考えています。

“Integrated Diversity”で多様な提案を
─ 新市場開拓の基本戦略 ─

鹿島の仕事の本質は、建設事業でも開発事業でも、唯一の土地において唯一のモノをつくりあげることにあり、「Absolute Competitiveness」の提供を意識して事業に当たりたいと考えています。これは、私にとって「唯一の土地(空間)、唯一の機会と環境に対して何が最良の提案となるかを組織的に志向して、鹿島が持つ技術・知見・人脈を投入し続ける努力」を指します。

「Absolute Competitiveness」を実現する為には、設計・建設・開発・運営の全ての段階を通じてお客様のご希望を正しく理解した上で、それに応えることが必要だと考えています。上流から下流まで様々な知識、経験を持つメンバーが、それぞれの立場で個々のプロジェクトに何が必要なのかを注視し、様々な声に耳を傾けた上で、鹿島の貢献の可能性をお客様の目線で思案することが肝要と考えています。即ち、お客様にとっての最良の案を策定するという目標を共有しつつ、案件の成功に必要な要素を広く社内外から集め、それを具体的な形に整えるチームを組成し、協働していくことであり、これを「Integrated Diversity(統合された多様性)」あるいは「Diversified Integrity(多様性の統合)」と呼んで良いのかも知れません。

図版:バングラデシュでのプレゼンテーション風景

バングラデシュでのプレゼンテーション風景

図版:ダッカの公共住宅視察

ダッカの公共住宅視察

ヤンキン地区複合開発
─ 室長が語る“Good Listener”の事例 ─

ヤンキン地区複合開発とは、ミャンマー最大の都市ヤンゴンにあるヤンキン地区にて、カジマ・アジア・パシフィック・ホールディングス(KAP)傘下のカジマ・ヤンキンPPPが開発当事者となり、オフィス・ホテル・商業施設などから成る、延床面積17万m2を超える再開発プロジェクトです。新市場室は、2015年以降本プロジェクトの始動と実施に深く関わってきました。

ミャンマーは長く続いた軍政から2010年に民政へと転換し、経済も対外的に開放されました。建設業を含む様々な分野での法整備と先進国からの技術移転が広く求められ、日本がどう貢献できるかの検討が本格的に始まりました。その過程で、2015年2月にミャンマー建設省から国土交通省に対して、「ヤンゴン市内にある公有地を日本のノウハウ・経験を活かしてPPP手法を用いて再開発ができないか、ミャンマー建設省の良きパートナーとなり得る日系企業からの提案を募って欲しい」との依頼がありました。両政府の協議を踏まえ、「(一社)海外エコシティプロジェクト協議会(J-CODE)」による公募手続きがなされて、鹿島は優先検討権を取得しました。

先ずミャンマーにおける公有地開発とはどうあるべきか、本件を通じてミャンマーの人たちと政府がどんな地域貢献や技術移転を期待しているかを正確に理解することを優先事項の一つに定め、公的機関や企業に加え、ミャンマーの文化、歴史、教育、人権といった分野に知見を持つNGOや有識者のお話を聴く機会を持ちました。併せて、ミャンマーの色々な街や美しい風景を観ることを通じて、聴く力の向上に努めました。これは、ミャンマーでは先例のないプロジェクトの進め方だったと理解しています。

パートナーであるミャンマー建設省とは、大臣ご自身に折衝の正面に立っていただき、率直な議論を何度も重ねました。幸いだったのは、「一つの案件で対応できることには限りがある。しかし、この案件を新しい公有地開発のモデルにすることで、急速に都市化が進むヤンゴンの課題解決に繋げていきたい。」という意思を、早い段階から共有できたことです。厳しい折衝を強いられた最中に、「鹿島とパートナー関係を築きたいと希望しているのは、大臣だけではありません。これは省全体の強い希望なのです」と言われて感激するという、貴重な経験もさせていただきました。

図版:ヤンキン地区複合開発の地鎮祭

ヤンキン地区複合開発の地鎮祭
(ミャンマー建設省幹部と押味社長(当時))

日系の建設会社全体にとって第二次大戦後の海外初工事であるバルーチャン水力発電所の建設に1950年代後半に関わって以来、60年以上にわたって拠点を置き続けるなど、ミャンマーは鹿島にとって特別に思い入れの深い国の一つです。長年にわたって積み上げてきた信頼が、ヤンキン地区複合開発の契約締結につながったと実感するとともに、案件を成功裡に完成させていくことが、鹿島の新たな良き伝統を築くことになり、自分たちの世代の大事な責務であると考えています。

図版:ヤンキン地区の近隣小学校を訪問

ヤンキン地区の近隣小学校を訪問

図版:ミャンマーにおける第1回オープンセミナーにて

ミャンマーにおける第1回オープンセミナーにて
(ヤンゴン工科大学の教授と大学院生達と)

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