住環境の継承と更新

築50年を経た公団住宅から免震構造の新しいマンションへの建替計画である。建替についての地権者の同意形成から当社が協力し、事業計画から設計、施工まで一貫して手掛けた。敷地は渋谷駅から徒歩圏内にありながら、数棟の低層住棟を豊かな緑が取り巻くゆったりとした環境であった。この希少な環境を継承しながら計244戸、6棟の住棟を落とし込むことが求められた。配置計画では、中庭を囲むように住棟を敷地中央へ集め、道路や隣地との間に一定のひろがりを確保するとともに、各棟の高さを敷地の起伏に合わせて設定、また地上5階のファサードを上下3層に分節して周辺環境に調和させた。総合設計の適用により幅8m、全長160mに及ぶ歩道空間を確保し、多様な樹種の植栽を施して、林の中を歩くようなさわやかな既存環境のイメージを継承することを意図した。