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設計担当者のコメント

八海山雪室

「麹の文化の俄(にわか)伝道師になる」

星野 時彦

学生時代に酒蔵の高校生の家庭教師をしていた。京都の古い町屋の酒蔵の中は、大きなタンクとともにその独特の香りで満ちており、酒蔵の原風景として僕の中にある。日本酒好きではあったが、熱燗も良ければ、冷酒もいいな、程度のことで、深い知識は何も持ち合わせていなかった。しかし、この仕事を通して、酒蔵の人たちとのお付き合いが始まり、醸造という複雑な工程と麹の文化の広がり、奥深さの一端を学ぶことになり、遅まきながら風土の恵み、先人の知恵、それらの結集としての食文化を知ることになった。今では、麹の文化の俄伝道師として、友人・知人をその道に導いている。ところで、建物が完成した暁には、秘蔵の酒を思う存分に飲み、ほろ酔い気分で建物の内外を巡り、八方から眺めては悦に入りたいと思いつつも、まだその願いは果たせぬままである。

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