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目黒経由の「第2ルート」を開拓 東横線複々線化事業進む

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 東京の渋谷と横浜の桜木町を結ぶ動脈、 東急東横線の輸送需要増大に対応するため、 日吉〜多摩川園間4.8kmを複々線化し、 併せて目蒲線の多摩川園〜目黒間7.8kmを大規模に改良、 日吉方面からの列車を直通運転して目黒から地下鉄に乗り入れ、 都心方面に向かう第2ルートを建設する工事が進められている。 当社はこのうち田園調布〜多摩川園間改良工事、 多摩川橋梁架替・増設工事、新丸子付近〜武蔵小杉間の高架橋工事、 目黒駅改良工事を担当している。

大規模な仮設構台で線路を仮受け

 田園調布〜多摩川園間改良工事は、 東横・目蒲両線が並走する同区間において、 東横線の田園調布液は地下化、 多摩川園駅は高架化し、 蒲田方で折り返し運転となる目蒲線の多摩川の多摩川園駅ホームを新たに地下に設置、 田園調布方向に地上との連絡線を設ける工事である。
 当社が担当する第4工区は、 多摩川園駅を中心とした延長450mの区間で東横・目蒲両線を大規模な仮設の高架橋に盛り換えて仮受けを行い、 その直下に地下ホームを有するボックスカルバート及び高架橋の躯体を築造、 蒲田方面からの目蒲線ホームを地下化、 高架部分に方向別複々線のプラットホーム2面4線を設置するものである。

「路線計画CADシステム」が全工区で活躍

 狭いスペースの中で列車の運行を確保しながら作業を行うためには、 複雑でも何度にも及ぶ三次元の線路切回しが必要になる。 これらの切回しに関する複雑な配線計画には当社開発の「路線計画CADシステム」が全工区に渡って活用され、 威力を発揮している。 このシステムによると車両限界、 建築限界、 勾配や曲線半径の制限、 緩和曲線、 カント(曲線部における線路の傾斜)などの諸条件をクリアする配線計画を、 対話型で用意に短時間で行うことができる。

周辺環境に調和した新設橋梁

 東京都と神奈川県境を流れる多摩川には約70年前に当時の鹿島組によって架設された多摩川橋梁があるが、 複々線化にともない全面的に架け換える工事が進められている。 工事は旧橋梁の下流に架替橋梁を架設、現在線を移設して旧橋梁の撤去および増設橋梁の架設を行うもので、 現在架替橋梁が完成して現在線の移設が完了、 旧橋梁の撤去工事を進めているところである。
 なお上部工の塗色決定には当社のコンピュータグラフィックス技術を応用した景観シミュレーションが活用された。

生まれ変わる目蒲線

 都心への新ルートは、 前述のように目蒲線を介する形になる。 このため目蒲線の長編成化、 目黒駅での地下線乗入れに対応するための改良工事が各所で行われており、 当社は目黒駅の改良工事を担当している。 この工事は同駅の目蒲線ホームを約20m下げて地下化し、 地下鉄線との相互乗入れ運転を行えるようにするもので、 さらにJR山手線乗換えのための連絡通路が設けられる。
 この工事は現在の目蒲線ホームを大規模な構台で仮受けし、 下部を掘削して地下4層 の躯体を構築するもので、 現在一次掘削が完了、 二次掘削に向けての東側土留め杭打設、 柱建込みなどの作業が行われている。
 狭隘な敷地に対応するため、 全自動三軸オーガ杭打機を開発・導入するなど、 さまざまな新技術、 新工法、 特殊工法が駆使されている。 一方山手線の目黒駅ホーム直上にも構台が設けられて、 連絡地下道構築のための準備工事が行われている。

田園調布多摩川園間改良工事

    場所  : 東京都大田区田園調布1−52−2
    発注者: 東京急行電鉄
  設計  :(本設構造物)オリエンタルコンサルタンツ、
       (仮設構造物)当社東京支店
  規模  : 鉄筋コンクリート造、高架橋300m、ボックスカルバート315m、
        U型擁壁115m 
  工期  : 1988年9月〜1997年3月(東京支店施工)

多摩川橋梁架替・増設工事

    場所  : 川崎市中原区上丸子天神町395 
    発注者: 東京急行電鉄 
    設計  : 復建エンジニヤリング 
    規模  : 下部工9基、上部工434m(上路鋼床版箱桁) 
    工期  : 1992年2月〜1996年9月(東京支店施工)

目黒駅改良工事

    場所  : 東京都品川区上大崎4−2
    発注者: 東京急行電鉄 
    設計  : 東京設計コンサルタント、ジェイアール東日本建築設計事務所、
             日本交通技術 
    規模  : 鉄骨鉄筋コンクリート造、地下4階 
    工期  : 1991年4月〜1997年12月(東京支店施工)


写真は鹿島月報より転載

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