特集:高速道路トンネルを地下鉄直下に建設する

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都市部の地下構造物建設で活躍する・・・・・・アンダーピニング工法
建物の地下躯体,地下鉄,埋設物が錯綜している都心部の地下。
これらの既設構造物に影響を与えないで地下鉄や道路などを構築する工法をアンダーピニング工法という。
当社では,神戸高速鉄道長田交差部工事をはじめ,様々なアンダーピニング工法を用いた工事を手掛けている。
地下鉄銀座線の直下に地下歩道と駐車場を建設
−上野地下歩行者専用道及び上野広小路駐車場建設一工区土木工事−
 東京都台東区の上野地区。道路地下空間の有効利用のために,中央通りの直下では,地下歩道と地下駐車場を整備する事業が進められている。
 計画中の施設は,地下2,3階が地下駐車場,地下2階の一部と地下1階が歩行者専用道路で,地下1階の一部に東京地下鉄銀座線を抱え込むような構造。
 延長105mのうち,当社JVは南50mの建設を担当し,現在,銀座線直下の掘削工事がピークを迎えている。
 銀座線を支えるための工事では,銀座線の鉄道函体の真下に鉄骨桁44本を1.1m間隔に設置。順番に鉄骨桁上に載せ替えていった。
 東京地下鉄銀座線の上野駅〜上野広小路駅間は1930年に営業を開始した区間。およそ築76年が経過し,現在も運転間隔2〜3分の運行を実施している。この鉄道函体を補強・防護も行い,地下鉄運行の安全を確保している。
断面図
地下駐車場
地上部 銀座線の函体真下に穴を掘り,函体を支えるための鉄骨桁を配置した
銀座線の鉄道函体直下を掘り下げていく
完成予想パース。機械式駐車場で約300台を収容する
工事概要
場所:東京都台東区上野4丁目/事業者:東京都,台東区/発注者:東京地下鉄/設計:パシフィックコンサルタンツ,メトロ開発/規模:掘削工45,210m3 路面覆工2,850m2/路下連壁:7,003m2 鉄筋コンクリート12,430m3 鋼管柱63本 銀座線防護工一式/工期:2002年12月〜2009年2月(東京土木支店JV施工)

地下鉄半蔵門線渋谷駅の直下に地下鉄13号線渋谷駅を建設
−地下鉄13号線渋谷駅渋谷二工区土木工事−
 建設中の東京地下鉄13号線は,埼玉県・和光〜東京・池袋間にて営業している東京地下鉄有楽町線を,渋谷まで8.9km延伸する路線。昨年,名称が東京地下鉄副都心線に決定し,2008年6月の開業が決定している。
 当社JVは,この13号線渋谷駅を地上からの開削にて施工している。建設中の駅は,幅36m,高さ21m,長さ108mで,プラットホームやコンコースなど地下4層構造。上部で直交する半蔵門線渋谷駅と一体化する。
 半蔵門線渋谷駅は,プラットホームやコンコースなどを備える地下3層構造。電気・機械設備等の駅施設が含まれており,13号線渋谷駅と直交する区間の総重量は24,500tになった。
 一日の平均輸送人員が100万人を越える半蔵門線渋谷駅を支える工事では,駅構造物の真下に8列の横穴を掘り,その穴から鋼製杭を合計112本配置。横穴に沿って渡した鉄骨桁を杭に載せ,8列の鉄骨桁で駅構造物を支えた。
 2008年4月の竣工に向け,現在半蔵門線渋谷駅の躯体直下では,鉄道の軌道の敷設や内部の建築工事を行っている。
半蔵門線渋谷駅の躯体を支える鉄骨桁。躯体と鉄骨桁の間にフラットジャッキを挿入している
6本の鋼管柱が半蔵門線渋谷駅の一部を支えている
地上部 水圧でジャッキアップさせるフラットジャッキ
平面図 断面図
工事概要
場所:東京都渋谷区渋谷1丁目〜2丁目/発注者:東京地下鉄/設計:パシフィックコンサルタンツ,メトロ開発/規模:掘削92,400m3 路面覆工4,300m2 柱列式地下連続壁2,300m2 鉄筋コンクリート17,800m2 13号線本線部半蔵門線受防護工一式/工期:2002年12月〜2008年4月(東京土木支店JV施工)

 Chapter 1 概要
 Chapter 2 軌跡
 Chapter 3 現況
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