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超高層ビル上層階の揺れを大幅にカット

−アクティブ制震床構法−


アクティブ制震床構法断面イメージ

○高度情報化社会&都市高層化のニーズに応えて
 時代の流れに伴ない超高層ビルは幅広い利用法が求められてきている。例えば上層階に美術品を展示したい,コンピューターなどの高度情報化機器を設置したいというニーズが高まってきている。こうしたニーズに応える技術として開発したのがアクティブ制震床構法である。

○必要なフロアだけを部分的に
 これまで,超高層ビルについては,建物全体の揺れを小さくする様々な技術開発が行われている。
 一方,主に中低層ビルの必要なフロアだけを部分的に揺れから守るシステムとして免震床構法がある。免震床構法は,ちょうど室内の床組みが,コンクリートの構造床から浮き上がった様な仕組みで,建物の振動が床組みに達しないように工夫されている。いわゆる柔構造である超高層ビルは,大地震の時にゆっくりとした振幅の大きい揺れとなるため,この免震床を適用するには中低層ビルに比べ,より大きなクリアランス*を取る必要がでてくる。クリアランス部分の床は,使用できないのでその分有効面積が減少してしまう。一方,有効面積を確保するためクリアランスを制限すると十分な免震効果を期待する事ができない。

*クリアランス 地震時に建物床と免震床に発生するズレ

○頭脳を持った床
 アクティブ制震床構法は,この相反する2つの問題を解決する画期的な構法である。従来の免震床構造にコンピュータを付け加え,いわば頭脳を持たせたもので,振動を分析,限られたクリアランスの範囲内で,最も効率的に揺れを制御するシステムである。 この技術により超高層ビルの上層階において転倒などによる地震被害の低減を図ることが容易になった。


写真は月報KAJIMAより転載

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