[2009/09/16]

エンバイロジェット工法でゼロエミッション化に成功

VOC(揮発性有機化合物)の原位置浄化工法で
鉄粉の回収再利用を初めて実現

 鹿島(社長;中村満義)は、VOC(揮発性有機化合物)の原位置浄化工法の独自技術である「エンバイロジェット工法」において、土壌中の汚染物質を除去した浄化土壌を場内再利用することに加え、浄化剤(鉄粉)を回収再利用することにより、ゼロエミッション化に成功しました。また、同工法では泥水などを密閉された状態で搬送することにより、揮発性の高いVOCの大気中への拡散を抑制するなど、幅広く環境負荷の低減を図っています。

 当社とケミカルグラウト(株)(社長;伊地正博、本社;東京都港区)が開発した「エンバイロジェット工法」は、地盤改良工法に用いられるウォータージェットを利用して、汚染された部分のみの土壌を原位置で浄化できる工法です。汚染物質に応じて鉄粉などの浄化剤を用いることにより、VOCや油、重金属などのあらゆる汚染に幅広く対処することが出来ます。特に、水よりも比重が重いVOCは地中深く浸透するため、任意の深さで汚染された部分のみスポット的に浄化できるエンバイロジェット工法が効果的です。エンバイロジェット工法は2001年の開発以来、多くの実績があります。昨年は、過酸化水素を浄化剤として用いる 「マイルドフェントン法-ジェットブレンド工法」を三菱ガス化学(株)と共同で開発し、実工事に適用しています。

 おりしも、「土壌汚染対策法」の改正により、来年4月までには、3000m2以上の土地の形質の変更時の調査命令が追加されるなど規制が強化され、法対応の工事の増加が予想されます。また、汚染土壌の場外搬出処分の規制も強化され、原位置での浄化工事のニーズは今後ますます増大するものと考えられます。

 鹿島のエンバイロジェット工法は、施工時に発生する排泥中からVOCが揮発拡散することを防止するため、処理装置や配管をクローズド化している他、汚染物質、土砂、浄化剤が混じる泥水からそれぞれを抽出、再利用することで環境負荷低減を図ってきました。
 また、浄化剤として鉄粉を用いる場合、従来は鉄粉が含まれたまま泥土として処理されていましたが、このほど(株)MSエンジニアリング(社長;仁木丈文、本社;大阪市大正区)と共同で、超伝導磁石を利用した鉄粉回収装置を開発、排泥中の鉄粉を回収し、これを浄化剤として再利用することに成功しました。
 さらに、浄化後の排出土も場内で再利用することにより、エンバイロジェット工法による浄化工事のゼロエミッション化を実現しました。

 鹿島ではエンバイロジェット工法関連工事を2001年以来、環境負荷の少ないクローズドシステムを採用して実施してきました。「土壌汚染対策法」改正に伴い増加が予想される原位置浄化工法において、周辺環境に優しいこれらのゼロエミッション工法を積極的に提案し、環境意識の高い客先のニーズに応えていきたいと考えています。

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超伝導磁石による鉄粉回収装置
超伝導磁石による鉄粉回収装置

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