[2013/08/19]

新しい壁面緑化『緑彩マルチパネル®』を開発 商業施設に初適用

鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050実現に貢献

 鹿島(社長:中村満義)は環境ビジョン:トリプルZero2050※1を掲げ、持続可能な社会の実現に向けて積極的な活動を推進しています。具体的な活動の一つとして都市部の建物周りの温熱環境を改善しクールシティの創出を狙う目的で開発された屋外温熱環境改善計画システムのBREEZA SYSTEM®を展開しています。
 今般、この総合技術であるBREEZA SYSTEMの要素技術の一つとして、山崎産業(株)(会長兼社長:伊東廸之、大阪府大阪市)と共同で、デザイン性と施工性を兼ね備えながら多様な植物を育成でき、都市域環境改善を実現する、壁面緑化『緑彩マルチパネル®』(共同特許出願中)を開発し、環境活動に積極的なイオンリテール(株)のイオン葛西店(東京都江戸川区)に初適用されました。
 今後、環境意識の高い企業をはじめ様々な建物に提案し、彩り豊かなクールシティの実現を目指してまいります。


設置状況(北側エントランス)設置された緑彩マルチパネル(拡大写真)
 設置状況(北側エントランス) 設置された緑彩マルチパネル(拡大写真)

開発の背景

 当社は、屋外空間の用途・機能・規模に応じて種々の個別要素技術を組み合わせて建物外装及び外構の計画を行い、実測された温熱環境のデータベースとそれに基づいた温熱環境シミュレーションによりその効果を事前に把握するBREEZA SYSTEMにて、都市のヒートアイランド現象の緩和を目指しております。

BREEZA SYSTEM


 建物外壁はヒートアイランド対策や蓄熱の低減など温熱環境改善に影響を与える要因の一つです。そこで当社は今回、このBREEZA SYSTEMの構成技術として壁面緑化技術『緑彩マルチパネル』を屋上緑化製品で実績のある山崎産業(株)と共同開発しました。同社が屋上緑化で利用しているリサイクルフェルトを壁面緑化として実用化するために、多種の植物の生育を可能にするフェルト形状の開発やデザイン性を重視したユニット化、優れた施工性と耐風性など安全面の確保を風洞実験などで検証してまいりました。

緑彩マルチパネルの特徴

  1. デザイン性
    • 建築の標準的なサイズにモジュール化(450mm角)したパネルユニット構造であるため、他の建築材料との相性がよく、オプションとして用意したソーラーパネルやLED照明、サインパネルなどと組み合わせた、多彩な景観創出が可能です。
    • 厚さの異なる2種類のパネルフレームを用意し、つる植物から壁面緑化では珍しい芝や低木まで多種多様で立体的な植栽が可能です。
  2. パネル構造模式図オプション活用イメージ図
          パネル構造模式図                       オプション活用イメージ図

  3. 施工性
    • 小型で軽量なパネルユニット構造(湿潤状態で厚型10kg/枚、薄型6kg/枚)のため、四隅のボルトでの一括固定という単純な取付方法で済むため施工性が高く、新築建物だけでなく今回のイオン葛西店のように既存建物にも簡単に設置可能です。
    • 建築物の壁面へ取付けるため、消防法に適合する不燃性のリサイクル樹脂材料を用いています。

  4. 環境性能

    • 従来方式(植栽部やパネルに一様に給水する方法)においては、保水ムラ・過剰灌水が課題でしたが、緑彩マルチパネルでは、導水部、保水部に保水性に優れたリサイクルフェルトを利用し、前後に分割されたパネルにフェルトを設置した灌水コントロールシステムにより、より安定した保水性能を確保、枯れリスクの低減とともにローメンテナンスを実現しました。
    灌水コントロールシステム
         灌水コントロールシステム
    • 植物の根が容易にフェルト全体に広がりやすい構造のため、一定量成長後は基盤全体からムラなく吸水し、過剰灌水を抑制することが出来ます。
    • フェルト製の植栽基盤であるため土壌の飛散等がありません。
    • リサイクルフェルトの高い保水性により常に基盤が保水されているため、建物内への熱流入の抑制や、屋外空間の温熱環境改善効果が期待でき、ヒートアイランド現象に悩む都市域に快適性を提供します。

    今後の展開

     オフィス、マンション、商業施設、学校等の景観・環境を高めることに意識の高い事業者に対し、屋外空間の温熱環境改善・建物の熱負荷低減、建物価値向上のみならず、より自在な壁面緑化を可能にする本技術を積極的に提案してまいります。
     安心して身近に楽しめる高品質な壁面緑化の提供により、快適なクールシティ、トリプルZero2050の実現を目指します。


    参考

    工事名  : イオン葛西店外壁改修工事
    工事場所  : 東京都江戸川区西葛西3-9-19
    工期  : 2013年3月1日〜5月30日(パネル設置工期:5月21日〜25日)
    設置箇所  : 東側入口2箇所、北側入口1箇所の入り口近くの外壁
    設置面積  : 35.2m2(緑彩マルチパネル:174枚)


     ※1 環境ビジョン:トリプルZero2050 別ウィンドウが開きます
    鹿島が2013年3月に策定した持続可能な社会実現に向けた当社の役割を示したもの。
    2050年までに当社が達成すべき将来像としてZero Carbon(低炭素)、Zero Waste(資源循環)、Zero Impact(自然共生)の3つのゼロを掲げました。同時に具体的な取り組みとしてターゲット2030も示しています。

    プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
    その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。