2010年よりスタートし、都内の緑地においてヤギによる除草実験を開始しました。
トリプルゼロ(騒音ゼロ、CO2ゼロ、廃棄物ゼロ)の取組みを実践し、
同時に緑地の植生がどのように変化していくかをモニタリングしました。
概要
鹿島では2010年よりヤギプロジェクトをスタートし、調布市にある社宅に付属している緑地においてヤギによる除草実験を開始しました。これまで機械除草を行っていた社宅はセイタカアワダチソウなどの外来種が繁茂した状態でした。ここでヤギによる除草を行うことにより、トリプルゼロ(騒音ゼロ、CO2ゼロ、廃棄物ゼロ)の取組みを実践し、同時に緑地の植生がどのように変化していくかをモニタリングしました。
植生モニタリング
約1,000m2ある社宅に付属した緑地においてヤギの除草実験を実施。1回あたり1ヵ月ほどの期間で春、夏、秋と年に3回除草を行いました。毎回、除草を開始する直前に植生調査を行い、植生がどのように変化していくかをモニタリングしました。結果は開始2年目から顕著となり、セイタカアワダチソウなどの大型の多年草が激減し、在来種のシバ型の草地に変化しました。これまでセイタカアワダチソウなどによって日光が遮られていて生育できなかった野草類が勢いを取り戻しました。
ヤギフェス
小さなお子様が多い社宅での取組みということもあり、住民を対象としたヤギフェスを年に1回実施しております。ヤギの生態についての説明や搾りたてのヤギ乳の試飲、ヤギとの触れ合いは大変好評です。また、当社が実施している目的や除草効果の説明なども行い、周辺住民の理解を得る場ともなっています。
周辺住民への環境啓発効果
ベランダの目の前での除草実験ということもあり、当初、臭いや鳴き声が不安との声が多かったです。しかし、実施前の通知や説明、ヤギフェスの開催などを通じてこのような不安は解消され、「環境によいことだから問題ない」、「生き物との触れ合い機会があるので賛成」といった意見に変わりました。
また、日常の風景の中に山羊がいることに対して、「自然の豊かさを感じる」「安らぎを感じる」といった印象を受ける住民の方が多数おり、生き物との触れ合い機会の少ない都市住民に「癒し」を与えていると考えています。
都心での除草事例
国内でも里地・里山エリアでの実施事例はありますが、当社は生き物による除草を都市部での緑地管理手法の一つとして提案しております。環境負荷の低い緑地管理手法としてだけではなく、都市住民の癒しの空間にもなり、景観の向上、生き物との触れ合いなどによる生活の充実を図る手法として提案しています。
港区公園
豊島区公園
日本工業大学駒場中学校高等学校屋上
2012年度活動実績
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出版物
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- 2010年3月5日 日経産業新聞 ヤギで雑草駆除 生態系配慮型の緑地管理 鹿島が実験
- 2010年3月26日 建設工業新聞 ヤギを使い緑地管理 社有地で雑草駆除実験 地域活性化も
- 2010年3月26日 建設通信新聞 ヤギで雑草駆除実験 鹿島が新たな緑地管理手法
- 2010年3月26日 建設産業新聞 ヤギを使い緑地管理実験 生態系配慮し雑草駆除
- 2010年10月6日 朝日新聞 ヤギ飼い除草 生物を身近に
- 2010年10月23日 International Herald Tribune Company sees green in urban pastures
- 2012年5月20日 平成24年度日本造園学会全国大会研究発表会「都市域における山羊を利用した緑地管理活動の研究」を発表
- 2012年6月21日 建設工業新聞 土木学会賞の環境賞を受賞 鹿島、ヤギなど使い緑地管理
- 2012年6月21日 建設産業新聞 土木学会賞環境賞受賞 いきもの利用の緑地管理手法 鹿島
- 2012年6月21日 電気新聞 ヤギなど利用し都市の緑地管理 鹿島
- 2012年6月22日 日刊工業新聞 土木学会賞「環境賞」を受賞
- 2012年6月24日 日本造園学会 「都市域における山羊を利用した緑地管理活動の研究」でベストペーパー賞を受賞
- 2012年10月10日 URBIO2012 A study on the effect of biophilic landscape design / Urban beekeeping project and grazing of urban greenspace by goats and chickens