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岸壁の復旧工事に活躍する
グラベルパック工法
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本年1月17日、阪神・淡路地方を襲った地震は鉄道・道路・各種建物に膨大な被害を与え、その状況は連日マスコミで報じられた。
これらの被害は臨海部においても激しいものとなった。特にポートアイランドや六甲アイランドに代表される埋立地の護岸や岸壁では、海岸線を守る役割を演じている巨大なコンクリートケーソンが移動するなどの大きな被害を受けている。これらの地域ではケーソンとケーソンの隙間から土砂が海に吸出され、背面が陥没するなどの現象が起きている。
グラベルパック工法は、これらの被害箇所の吸出防止対策として応急的にも恒久的にも実施できる工法で、当社と日本海上工事で開発を行い、既に神戸市内の岸壁の復旧工事で実績を挙げている。
吸出防止対策工法
従来土砂の吸出防止対策としては、ケーソンの隙間の前面にゴムや鉄板でできた防砂板を貼る方法、背面を掘削して鉄板や土のうなどを設置する方法がとられていた。しかし、これらの方法は隙間の幅が20cm程度までの水深が浅く、波力の小さい箇所にしか対応できなかった。また、ダイバーを必要とするため、透明度が低い場合、海象条件が悪い場合は作業能率が低下するという問題もあった。
グラベルパック工法
グラベルパック工法は、ケーソンの移動によって生じた隙間に、砕石などを詰めた網袋(グラベルパック:ナイロン系及びポリエステル系、直径6mm,引張強さ710kgfのロープで製作)・土のう・シートを設置して、背面からの土砂の吸出しを防止するものである。隙間の幅が20cm以上の場所にも適用でき、陸上で作ったグラベルパックを小型のトラッククレーンで投入して施工する。ダイバーを必要としないため、水深が深く波力が大きい箇所、ケーソン前面の出入が大きい箇所など従来工法では難しい箇所でも施工できるという特徴がある。また、コンクリート材を使用しないので、養生時間も不要であり迅速に施工できる。
グラベルパックはフレキシブルであり、ケーソンの隙間の形状に合わせて形を変えられるため、隙間へのなじみがよく、事前に隙間の形状を測定する必要はない。ケーソンの隙間に設置して吸出を防止するため、従来工法のようにケーソン前面を清掃したり、背面を掘削する必要がなく、作業範囲も狭くて済む。
グラベルパック工法は、応急復旧工事としても恒久復旧工事としても施工できる。恒久復旧工事の場合では、グラベルパックを型枠として使用し、背面に水中不分離性コンクリートやアスファルトマスチックを打設する。
この工法の試験施工は、神戸港新港第4突堤の水深14mの場所で応急復旧工事として実施し、良好な結果を得た。また、神戸市内の岸壁で恒久復旧工事としても施工している。
写真は鹿島月報より転載
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