特集:ホテル――都市のホスピタリティ・デザイン

Chapter 3  世界水準のラグジュアリーへ

いわゆる五つ星クラスの外資系ホテルが日本に進出し,最高級の贅沢さを提供するラグジュアリーホテルが姿を現しはじめている。一方で,国内トップレベルの老舗ホテルも大規模なリニューアルを展開するほか,新たなブランドを打ち出すフラッグシップホテルも登場した。究極のホスピタリティが,競演の幕を開ける。
至高のパノラマとリラクゼーション
マンダリン オリエンタル 東京

世界14ヵ国に27のラグジュアリーホテルを運営するマンダリン オリエンタル ホテル グループが,いよいよ東京・日本橋室町の上空に登場する。その舞台となるのは,重要文化財・三井本館(1929年竣工)の一部と,そこに隣接して建設中の超高層複合ビル・日本橋三井タワーである。地域で群を抜く高さのビルの最上階には,ロビーやダイニングなどのほか,世界で高い評価を得ているスパも組み込まれ,東京の大パノラマを一望にできる至高のリラクゼーションが味わえる。内装の木目や大理石はどれも逸品である。グランドオープンは12月2日。写真は外観見上げ(左下が三井本館)と客室イメージ。

場所:東京都中央区
(日本橋三井タワー 1〜3F,30〜38F 179室)
発注者:三井不動産
建築設計:日本設計(設計監理),シーザぺリ アンド アソシエーツ ジャパン
(デザインアーキテクト)
ホテル設計:リム・テオ・ウィルクス・デザインワークス,小坂竜(乃村工藝社)
ホテル実施設計・コーディネーション:イリア
開業:2005年12月
(東京支店JV施工)
マンダリン オリエンタル 東京
歴史の重厚感と現代の洗練性の融合
帝国ホテル レストラン「レ セゾン」

創業115周年を迎える東京・日比谷の帝国ホテル。本館の改装が2003年末から5年間をかけて行われている。そのメインダイニングであるフランス料理店が開業以来22年ぶりに一新された。基本デザインは,仏レジオン・ドヌール勲章で名高いインテリアデザイナーによる。「クラシカルモダン」をテーマに伝統性と現代性の融合が図られ,客席数を約2/3に減らして空間のゆとりがさらに向上した。

場所:東京都千代田区
(帝国ホテル 本館中2F 94席)
発注者:帝国ホテル
コンセプチュアル・デザイン:フランソワ・ル・グリ
実施設計:当社建築設計本部
リニューアルオープン:2005年4月
(東京支店施工)
帝国ホテル レストラン「レ セゾン」
帝国ホテル レストラン「レ セゾン」
都心最上級の自然公園とホテル建築
東京プリンスホテル パークタワー

プリンスホテルの新生フラッグシップは,広大な都心の芝公園に建ち,目の前には東京タワーがそびえる。都市計画公園指定地域のために敷地の80%を公園として整備し,一般に公開している。都心では稀となった豊かな自然に囲まれたシティホテルとして話題を集める。ホテル建築としても最高水準を究め,客室の半数がハイエンドのグレードに設定された。シャフトレスの箱の展望エレベーターが昇降するアトリウムは石とガラスと水で構成され,都内最大級のボールルームにはバカラ社製のシャンデリアが輝く(下)。

場所:東京都港区
(B3,30F 673室)
発注者:西武鉄道
基本設計:丹下健三・都市・建築設計研究所,時園國男
実施設計:当社建築設計本部
開業:2005年4月
(東京支店施工)
東京プリンスホテル パークタワー
東京プリンスホテル パークタワー
海外リゾートのラグジュアリー
雄大な自然のなかで過ごすリゾート施設は,シティホテルとは一味違った贅沢な時間が流れる。南仏プロヴァンスの滞在型ゴルフリゾート「サンタンドレオール・リゾートSPA」は,140万m2の自然に囲まれ,スパ施設も充実している(右)。ハワイ島の350万m2の敷地をもつ「フアラライリゾート」は,ラグジュアリホテルで知られるフォーシーズンズホテルを中心に,ゴルフ場やコンドミニアムなどで形成される(左)。
フォーシーズンズホテル サンタンドレオール・リゾートSPA



Chapter 1 都市のもてなし空間
Chapter 2 更新されるブランド
Chapter 3 世界水準のラグジュアリーへ