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鉄道発祥の地“汐留”で地下鉄駅を施工
鉄道発祥の地“汐留”(東京都港区)で、都営地下鉄12号線の汐留駅
(仮称)および、共同溝や地下通路の建設が進められている。 延長447m、幅員40m、平均掘削深度25m、掘削土量約445,000m
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という国内最大規模の大型開削工事である。
「地下の山手線」地下鉄12号線
都営地下鉄12号線は、西新宿を起点として、飯田橋、上野広小路、蔵前、汐留、浜松町、六本木を経て再び新宿に戻る「地下の山手線」とも呼ばれる路線である。 この環状部約29kmと、西新宿から練馬を経て光が丘に至る放射部約14kmからなる延長約43kmの地下鉄は、2000年に開業が予定されている。
3層の巨大な地下構造物
地下1階部分には地下鉄出入口を含めた歩行者自由通路、地下2階部分には中央に地下鉄コンコースと両側に車路、地下3階部分には中央に地下鉄のホームおよび線路と両側に共同溝を建設する。 近い将来予定されている周辺の大規模な再開発を念頭において、地下鉄駅ばかりでなく、社会基盤の整備も併せて一挙に行うというプロジェクトである。
汐留地区の歴史
汐留地区は、大部分が江戸時代に海を埋立ててできた。 播磨竜野藩脇坂家、仙台藩松平家(伊達家)、会津藩松平家(保科家)の上屋敷などがつくられ、江戸のウォーターフロントとして栄えた。 1872年(明治5年)にはわが国最初の鉄道が新橋・横浜間に開通し、その起点となる新橋駅が汐留に造られた。 その後、大正時代に「新橋」の名前を現在の新橋駅(旧烏森駅)に譲り汐留駅と名前を変えると同時に、旅客の扱いをやめ貨物専用駅となり1986年まで使われていた。 このような歴史を有する土地であったため、工事に先立って埋蔵文化財の調査が必要となった。
二重土留壁を設置しての施工
工事は埋蔵文化財の調査が終了した区域から順に引渡しを受け、全断面開削工法により施工している。 工区を、地下鉄構造物が新交通の橋梁の基礎と一体となった駅部(延長285m、幅員40m)と、これに接続する引上線部(延長162m、幅員40m)の2つに分割。 特に、新交通「ゆりかもめ」との競合部は、幅員40mの位置だけでなく、20mの位置にも土留壁を設置し優先して施工を行った。 二重土留壁を設置しての施工はきわめて珍しい。
新交通との一体構造
新交通の橋脚は、将来地下構造物が受けることになる。 地下構造物が完成するまでの間は、地下鉄12号線の下床版(厚さ3m)に埋め込まれたアンカーフレームに、 鋼角柱(断面800mm×1,200mm)を4〜6本立て、上床版部で連結して橋脚を支持する構造となっている。 この鋼角柱は地下鉄駅のホームの柱も兼用している。
都心の重要な鉄道交通の拠点に
現在工事は掘削土量が400,000m3を越え、計画の90%に達している。 約35%にあたる40,000m3のコンクリート打設も完了した。昨年11月には新交通「ゆりかもめ」も無事開業した。 2000年に地下鉄12号線が開業すると、汐留駅は新交通、JR新橋駅、営団地下鉄銀座線新橋駅、都営地下鉄浅草線新橋駅の乗換えターミナルとして、都心の重要な鉄道交通の拠点となるのである。 オフィス、集合住宅、商業施設など大規模な再開発が予定されている汐留地区の核として担う役割は大きい。
写真は鹿島月報より転載
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