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災害に強い第二の大地を作る
低層住宅を対象とした免震地盤の開発
当社は、都市の大半を占める密集した住宅地や旧市街地を対象に、その地域のコミュニティを維持しつつ、災害に強い環境共生都市を作り上げる方法を考案した。
この第二の大地構想は、ある特定の範囲を免震構造の人工地盤として、大地震の危険や日常の交通振動から人々を解放するというものである。
免震構造の人工地盤を作る
人工地盤は免震構造として、大地震の危険や日常の交通振動から人々を解放する。 この免震構造の人工地盤では、地上の道路から緊急車両以外の車両を排除し、徹底したバリアフリー化と環境共生緑化を図って自然と共生できる町づくりを進める。 免震地盤街区のモデルケースの場合、100m×50m程度で、積載荷重は2t/m
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、鉄筋コンクリート造3階建て程度の共同住宅を想定している。 地震力が低減されるので、大きな柱、梁、筋交いが不要になり、住宅建設費も軽減できる。そして住民は、今まで住んでいた土地に、安心して住み続けることができる。
一方、地下にはインフラや情報・物流のネットワーク、地域の防災拠点となる非常用備蓄倉庫、雨水貯留槽などを設置する。 これらの施設も免震装置が施された人工地盤から吊り下げることによって、強い耐震性を得られる。インフラ設備が埋設されないので、更新のための道路掘削や補修は不要となる。 そのほか、賃料の必要のない公的備蓄倉庫の確保もできる。
21世紀先進都市へ向けて
第二の大地構想は一見、経済性を無視した夢物語のように見えるかもしれない。 しかし地権者が住居を利用する権利と、行政が公共の目的で地下の一部または全部を利用する権利を分けることにより、 住民にとっては、安全で住み良い生活を確保できるばかりでなく、行政にとっては、災害に強くメンテナンスが容易なインフラが確保できる。 当初の投入コスト、投入資材量は割増となるが、長期的な視野でコスト面だけから見ても住民側、行政側双方に充分メリットのある計画といえる。
この構想を複数の街区に連続して建設することにより、震災時のライフラインや緊急道路の確保、都市景観の保全、歩車道分離など、都市レベルでの21世紀の街づくりの大きな可能性が広がる。
免震ゴム
写真は鹿島月報より転載
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