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土石流災害から鉄道を守るために

〜中尾川中小河川改修工事 島鉄本線工〜

 雲仙普賢岳の198年ぶりの大噴火から丸6年が経過した。長崎県島原市・深江町では今なお災害の爪痕が各所に残っている。1997年最初の黷逎は、雲仙普賢岳のふもと島原市にて、土石流災害防止のため、島原鉄道の軌道を高架化する嵩上工事の現場を紹介する。

●1kmに及ぶ長い工事現場
 島原鉄道は島原半島に沿って長崎県諫早と加津佐を結ぶ延長78.5kmの非電化単線である。創業以来88年、現在一部不通区間があるが、年間260万人もの観光客と住民を運んでいる。
 工事現場はこの鉄道の島原〜三会間の約1kmに及ぶ細長い敷地。最大でも幅50mしかない。現在高架化された営業用の仮線に約30分に1本ディーゼル車両が通る。それと平行する本線部分では盛土による嵩上と橋梁工事が進められている。盛土には水ハケの良い良質な火山噴出土が利用される。~雨時はいつ土石流が来るか、防災無線を準備して工事関係者の避難対策も心がけていた」と増田所長は語る。

嵩上げ工事中の本線部分(中央)と仮線(左)

●営業路線の切り替え工事
 本工事は、長崎県島原振興局による中尾川改修工事(別工事:改修後は幅員約80m(現在約7m)に拡幅)に伴って、既設鉄道を高架化する嵩上工事である。工事内容としては、補強土壁(テールアルメ)による盛土工事と中尾川(83m)他の橋梁工事に大別される。
 工事の過程を説明すると、まず借地である田畑の上に本線と平行に営業用の仮線を建設(当社施工にて*95年12月完了)、完成後、本線から仮線へ営業路線の切替えをおこなう。切替えの終わった本線部分に対し、軌道を撤去し順次補強土壁(テールアルメ)で嵩上、同時に橋梁の施工をおこなう。本線嵩上工事が完了後、軌道敷設をし営業路線を仮線から再び本線へ切替える。さらにその後、仮線の撤去および借地の原形復旧をおこなう。*97年秋、本線への切替え完了を予定している。


中尾川中小河川改修島鉄本線工
<工事概要>
完成予想図
場所長崎県島原市前浜町(島原鉄道線三会〜島原間)
発注者島原鉄道
設計パシフィックコンサルタンツ
規模本線総延長151m(盛土956m、橋梁95m、橋台4基、橋脚2基他)
工期1996年2月〜1998年3月
施工鹿島 九州支店JV


写真は月報KAJIMAより転載

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