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■鹿島名古屋支店千種社宅
現在建設中の千種社宅は、鉄骨鉄筋コンクリート造9階建で、 1階に集会室などの共用スペース、2階から9階までに3LDK(82.5m2)32戸のはいるオール電化マンションである。 ルームエアコンと駐車場(屋外)も全戸に完備されている。
■自動化建築生産システムAMURAD
 この工法は、地上レベルで9階建の建物の最上階から順に作って押し上げていくもので、1フロア8日サイクルで作られている。 建設中建物の下層部分が生産工場となり、常に同じ位置で同じ作業を行うことができるようになっている。  AMURADでは、プッシュアップ装置Z-UP、躯体取付装置Z-HAND、資材搬送装置Z-CARRYの3種の機械装置を開発運用している。
Z-UP
 各階で施工の完了した建物を1フロアずつ押し上げるプッシュアップ装置Z-UPは、中央部6台の600tジャッキと、コーナー部4台の400tジャッキから構成されている。
Z-UP
Z-HAND
 生産工場部分の1階で柱や梁を取り付ける躯体取り付けロボットZ-HANDは、 レールの上を移動してプレキャスト(PCa)化された柱、梁、床などの部材を搬送し、取り付ける装置。
Z-HAND
Z-CARRY
 内部工事を行う作業階に資材を自動搬送するのが仕上・設備資材搬送装置Z-CARRYである。 バーコードのついたケージによって、3階4階レベルのそれぞれの住戸へ、必要なものを搬送する。
 この現場はAMURAD工法適用第一号でもあり、 建築技術本部、機械部、技術研究所、情報システム部を中心に関係部署の社員が現場に常駐し、全社一丸となって施工を進めている。
Z-CARRY
■コンピュータによる生産情報の統合化
 当工事では、自動化・機械化施工の他に現場管理の情報化にも積極的に取り組んでいる。 現在、現場では工程計画・管理、作業手配調整、搬送管理及び工程の三次元可視化の4つのシステムが運用されており、 それらの各システムの情報は、PDB(プロジェクトデータベース)と呼ばれるデータベースで一元的に管理されている。
■さまざまな新しい工夫
 AMURADは、8日サイクルで1フロアを建ち上げる。そのため仕上げ工事も同じサイクルで行わないと、バランスがとれなくなってくる。 仕上げの工程を縮めるために、内装壁をパネル化して取り付けることとした。 これによってボードの廃材の量が減り、現場から出るゴミは、40%削減できた。 また、設備系では、設置する長さどおりの電線を工場で切って持ってくるユニットケーブル方式を取ったために、現場でそのまま伸ばすだけで配線できる。
 普通エレベータ工事は工事後半に40〜50日かけて行われるが、ここではエレベータ建屋を初期に建造し、ユニット化工法により2週間で設置された。 このエレベータと隣の階段は本設のもので、作業中は作業員の昇降に使われている。
 また、型枠材には特にプラカタ(プラスチック型枠)を使用して、環境にも配慮している。
AMURAD(Auto Matic Up-Rising construction by ADvanced technique)とは、 建物を上階から順に連続繰り返し的に下層部で施工して完成させジャッキアップする構築工法で、 建物の下層階を定まった生産工場として製造業に近い生産環境を創り出すことができる。 品質の向上、工期短縮、コストの安定、作業環境や安全性の向上、敷地制約条件への対応、廃材低減による環境への配慮などのメリットがある。


写真は鹿島月報より転載

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