特集:鹿島のCSRを考える

interview
平田光宏
専務執行役員 企画本部長・CSR推進室管掌
――CSRをどのように捉えていらっしゃいますか
 企業が,「社会の中で生かされている」という意識を持ち,社会の期待や要請に誠実に応えていくことだろうと思います。その上に相互の信頼関係を保持していくのがCSR活動の本質だと理解しています。勿論,企業行動規範,内部統制などのルールを織り込んで,CSRを担保する仕組みを構築していくプロセスも大切ですね。
 
――建設業あるいは鹿島のCSR活動のポイントをどうお考えですか
 3つあります。ひとつは,公共性が高く長期間活用する商品を造るがゆえに,高い職業倫理に裏打ちされたものでなければならないということです。2つ目は,中村社長が折に触れ言われている「環境に対して常に感度が高く,礼儀正しい企業」であること。そして,国の内外を問わず,建設する地域との関わりを常に大切にし,良好な信頼関係を築くことです。
 社会,あるいはステークホルダーに対し,この3点を外さずに,誠実に公正に企業活動の中で応えていくことが,我々のCSR活動のポイントかなと思っています。

――CSRを推進していく上での課題は
 CSRは,協力会社や取引き先を巻き込んで推進していく必要があります。一般の方々から見れば,当社の企業活動に関わる全ての人がパッケージとなって「鹿島建設」と認識されます。建設業は裾野が広いゆえに,従事する人数も多く,活動の徹底を図ることは難しいでしょう。当社だけでといっても,それはほんの一部だけの活動となってしまいます。
 建設業は「貢献度は高いけれど好感度は低い」と言われている産業です。社会に我々の真の姿を理解してもらう努力をすること。それには真の情報発信が必要だと思います。ネガティブ情報に接する場合でも,会社としてタイミングを失わずに説明責任を果たしていく,その姿勢がCSRだろうと思います。

――CSR活動をいかに社員に徹底し,継続していかれますか
 中村社長は経営計画の中で「企業倫理の実践」を強く言われています。また,先般改定された「鹿島グループ企業行動規範」でも公正で誠実な企業活動を明記しています。問題のある企業行動をもって利益追求を絶対にしないという明確な方針,トップの決意を私自身,強く感じています。これは,トップから社員に繰り返し言っていただくことも必要でしょうし,我々も機会あるごとに強調していきます。
 社員あるいは鹿島グループ,関係会社,協力会社の人たちが日々の仕事の中でCSRを常に心の中において判断し,行動する。これが会社の体質となれば,鹿島のCSRは本物だと思います。
 誇りを持って働ける産業であり,職業であり,鹿島でありたい。そして若い人たちが建設業に入り,鹿島に入社したい,あるいは協力会社の方々も鹿島の現場で働きたいと思うような会社にしていく。そういうのもCSRのひとつの目標,ひとつのゴールと考えていいと思いますね。
平田光宏

 interview
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