土木構造物は,新幹線の高架橋の落下,阪神・阪急電鉄の高架橋の落下及び高速道路の主桁の落下・転倒など,関東大震災以上とも思える甚大な被害を受けた。
極めてショッキングな被害は,建設当初は近代的な構造物だった芦屋郵便局から魚崎にかけてのピルツ形式の高架橋の被害であった。
その他の被害を受けた高架橋も,昭和40年代に建設されたものが多く,当時の設計指針に従って設計・施工されたものが多かった。
これら被害を受けた高架橋は,緊急輸送や復旧作業を確保するためにいちはやく撤去作業が行われた。
首都圏でも同種のものが建設されている地下構造物にも被害が発生した。
これまで地下構造物は,地震に対して安全とされていたが,神戸高速鉄道が通過している道路でも陥没があった。
この陥没は大開駅の地下駅ホームの中柱が崩壊し,駅部の天井が落下したため発生したものであった。
地下駅での中柱の崩壊原因は,震源が近かったこと,水平動が設計以上の大きさだったことなどが考えられるが,今後十分な原因調査が行われるものと思う。
1993年から1994年に発生した北海道周辺に震源を持つ地震では,港湾施設の被害が報告された。
今回の地震でも港湾施設での被害は発生したが,被害規模はこれまでの地震被害を大きく上回るものであった。
特に人工島のポートアイランド,六甲アイランドでケーソン・矢板護岸で甚大な被害が発生している。
港湾施設の被害として東神戸フェリー埠頭において,ケーソン式岸壁の裏込め土砂が液状化して流出したため,エプロンが大きく沈下(3〜4m程度)した。
この地域では,同じような被害が発生しており,その復旧には少なくとも3年,9,400億円が必要であると試算されている。
今回の地震では,土木構造物に甚大な被害が発生した。これらの被害原因については,今後被害調査を通して解明されるものと考えられる。
今後は,これらの考察を踏まえて事前に予測できた被害を整理し,地震発生直後の被害情報の把握手法を確立していく予定である。
また,被害波及プロセスを解明し,病院や学校,避難所などの防災拠点における耐震性能の見直しも検討している。
東神戸フェリー埠頭エプロン被害
阪神高速神戸線 高架橋転倒
神戸高速鉄道 大開駅地上部での道路陥没
大開駅 中柱崩壊
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