兵庫県南部地震の特徴

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――大都市を襲った大地震は関東大震災以来ということになりますが,今回の地震の特徴はどういうところにありますか。

小堀 いろいろ既に言われていますが,直下型で震源の浅い地震でした。 断層が丘陵部から低地にかけて帯状にあったため非常に激しい地震動が起きました。 丘陵地と低地の部分では地盤の動き方が違うため,それがもろに構造物に働き,大きな被害を生みました。 地震は地球が死に絶えていないという証拠で,ある意味では自然の摂理なのですが,不幸なことにその真上に神戸と淡路島があった。 被害の特徴は,古いものが潰れて,新しいもの,つまり新しく検討されて作ったものが残った。 被災者にはお気の毒ですが,これが今回の教訓です。

野尻 私が現地に行きましたのは1月18日で,主な土木構造物を中心に見て回ったのですが,とにかく破壊の凄まじさに呆然としました。 地震工学に携わってきた経験から申しますと,過去の大地震被害とは破壊の程度,広がり,数が桁違いに大きかったと思います。
――激しい地震動があったわけですが,そんな中,当社の施工物への影響はいかがですか。

小島 土木においては,地震が起きたとき施工中の大型物件が4件ありました。 これらはいずれも多少の被害は受けましたが,やり直しになるようなことはありませんでした。 しかし,過去に施工した物件の中には落橋や倒壊など被害を被ったものもありました。 現在,建設省や各道路公団,JRなどの依頼により,当面の処置として復旧工事を行っています。 補強を要するもの,建替えを要するものと様々で,これらのうち半分は当社施工のもの,半分は他社施工の対応です。 建築に関しては,2月13日現在で約650件ほどの緊急対応をしています。 三宮市街地のビルの被災状況は衝撃的で,当社の依頼分も含めて約70件は建替えが必要でしょう。 交通センタービルなど当社施工物件は4件あります。また建替えならずとも補修が必要と思われるものも約70件あり,当社施工物件は3件程度です。 三宮中心部だけでこんな状況です。 私自身,神戸の地震でまず気になったのは,自分が施工に関与した関西初の超高層ビル・神戸商工貿易センタービルです。 これが大丈夫だっただろうかと大変心配しましたが,テレビで無事な姿を見たときは本当にほっとしました。

小堀 実は,当時私はこのビルが計画されたときの構造評定の審査委員長だったんですよ。 だから私も神戸商工貿易センタービルの安否は心配でしたね。


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