特集:ハイ・ファッション & テクノロジー
銀座をうるおす垂直の庭 ニコラス・G・ハイエックセンター
エントランスの「垂直庭」。圧倒的なボリュームで立ち上がる4層吹抜けの緑が,年間通して買い物客を和ませる
プランタの灌水システムは3段で1系統。FRP製のプランタとステンレス製のカゴプランタが,植物の摂水量にあわせて使い分けられている
ニコラス・G・ハイエックセンター
700鉢の観葉植物
 新旧の華やかな建築デザインが軒を連ねる東京・銀座,中央通り。2007年春にお目見えした「ニコラス・G・ハイエック センター」はオープン前から注目の的だった。
 呼び水となったのは大きく設けられた開口部と,大ボリュームの緑化壁。店舗とオフィスからなる13層のフロアを4つに分ける開口部は,吹き抜けにもなっており,類い稀な開放感をもたらしている。「垂直庭」としてデザインされた緑は地上50mの最上階までめぐらされており,約700鉢の観葉植物が道行く人びとを和ませる。

みずみずしさを保つ技術
 「大壁面の垂直庭を実現したのは,当社技術研究所での1年半におよぶモックアップ試験の成果」と工事を担当した金井照雄所長は語る。「プランタは1鉢あたりの重量がおよそ70kg。プランタを受ける植生棚を片持ち吊構造で支えることで,重量を感じさせない軽やかな面がつくり出せた」。
 植栽のみずみずしさは,棚3段を1系統とした灌水システムで維持されている。上段に注がれた水が下段まで滴を落とす。構造の負担を軽減する軽量土壌と保水層を組み合わせた土壌によって,効率よく水が行き渡り,植栽の発育を促す。これも当社技術研究所のモックアップ試験で実証済みだ。
 「週4回の定期的な自動灌水と週末夜間のメンテナンスで,季節に応じて管理されている」と金井所長が語るとおり,垂直庭はみずみずしい力を銀座に与えている。都市にうるおいをもたらす新しい庭の試みかもしれない。
建物概要
場所:東京都中央区/発注者:スウォッチ グループ ジャパン/設計:坂茂建築設計/ランドスケープ設計:オンサイト計画設計事務所/用途:商業施設,事務所/規模:S造一部RC・SRC造 B2, 14F, PH1F 延べ5,697m2/工期:2005年12月〜2007年4月
(スルガコーポレーション,当社東京建築支店施工)

 都心に「氷山」を築く The Iceberg
 ねじれるファサード (仮称)ピアス銀座ビル
 軽やかに包む石のカーテン ザ ジュエルズ オブ アオヤマ
 銀座をうるおす垂直の庭 ニコラス・G・ハイエックセンター
 紙工作のような白い塔 (仮称)青山プロジェクト