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安全でおいしい野菜の安定供給をめざして

野菜接ぎ木苗大量自動生産システムを開発

 おいしい野菜を作るための接ぎ木苗大量自動生産システムが開発された。
苗の作り方次第で収穫の半分は決まってしまう。 ヨーロッパやアメリカでは種苗と栽培の分業化が進み、それぞれ産業として成り立っているが、 日本では種苗生産の大半を栽培農家自らが行っている。
■接ぎ木苗

 接ぎ木とは、病気に強い苗を台木に、食味のよい苗を穂木として、両者のよい性質を組み合わせて一本の苗に仕立てる日本の伝統的技術である。 また、農薬使用量を軽減しても生産性を維持でき、連作も可能になる環境保全型技術でもある。 現在日本の野菜生産のうち、スイカの93%、キュウリの72%、ナスの50%、トマトの32%、メロンの30%が接ぎ木苗で生産されており、約6億本/年が必要とされる。

接ぎ木と穂木台木
■テクノ・グラフティング研究所

 優良な野菜接ぎ木苗の大量自動生産システムの開発を目的に1989年、テクノ・グラフティング研究所(TGR)が設立された。 農林水産省の外郭団体である生物系特定産業技術研究推進機構と民間5社(鹿島、日本たばこ産業、東芝、コマツ、全国農業協同組合連合会)の出資により、 7年間の期限で設立された研究開発会社である。接ぎ木苗の大量自動生産システムの開発が進められた。

自動多連接ぎ木ロボット
■要素技術の開発
民間5社がそれぞれ分担して要素技術の開発を行った。当社はおもに次の分野の研究開発を担当した。
  • 種子の斉一発芽技術
  • 光質環境の制御技術
  • 苗保存技術
  • 自動灌水装置
■自動生産システムの開発
 その後、当社が中心となって要素技術を統合したシステムの開発を進めた。 500万本/年の生産モデルの試設計を行い、プラント建設の検証を進めた。
 当社では、この野菜接ぎ木苗大量自動生産システムの研究開発が、種苗生産工場の建設による地域活性化につながると考えている。 各方面に積極的展開を図っていく方針である。


写真は鹿島月報より転載

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