特集:完成した西武ドーム

コンセプト2.
後付けドーム−世界初の既存球場のドーム化−

 既存球場に屋根を架け,ドーム球場をつくるという「後付けドーム」はこれまでに例がない。更に,プロ野球シーズンを妨げずに工事を行って欲しいという要望があった。通常プロ野球シーズンは4月から10月。実際に工事が行えるのは4か月たらずだ。どのようにして工事を行ったのだろうか?


●2回のシーズンオフを利用する

 当社はシーズンオフを2回使った2段階施工を考えた。肇のシーズンオフに観客席を覆う金属屋根を構築し(一期工事),次のシーズンオフにグラウンド上に膜屋根を架ける(二期工事)というものだ。


着工前
工事着手前の西武ライオンズ球場

一期工事終了時
一期工事終了時の西武ドーム 
観客席の上部にだけドーナツ型の屋根が架かった

二期工事終了時
二期工事終了時の西武ドーム 
グラウンドの上部にテフロン製の膜屋根が架かった

●金属と膜の「ベストミックス」

 観客席上部の金属屋根は断熱性に優れており,輻射熱も抑制する。逆に屋根の4割を占める膜屋根に一重のテフロン膜を採用して透過性を高め,観客に快適な空間を提供している。更に施工上も一期工事で剛性の高い金属屋根を構築し,二期工事で膜屋根をリフトアップする際の反力として利用した。まさに「ベストミックス」といえる金属屋根と膜屋根の組合せとなった。




コンセプト1.環境共生型ドーム
|コンセプト2.後付けドーム
様々な制約との闘い−工事の記録
後付けドーム−今後の展開