現場から

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未来都市の拠点をつくる

〜(仮称)ポートアイランド(第2期)パイロットビル建設工事〜

 神戸港沖にある人工島「ポートアイランド」では,新しいまちづくりが進んでいる。


“砂漠”の中に突如「ビル」が出現したかのような現在の風景。
以前は手前のコンクリート部分が防波堤だった。

●ポートアイランド拡張の核に
  1986年から島の南側で始まった埋め立て拡張工事は,神戸発展の拠点と位置づけられ,21世紀に向けてさまざまな計画が推進されている。
 その一つが「神戸マルチメディア文化都市(KIMEC=キメック)構想」。これは,ポートアイランドに最新鋭設備を配した通信・放送の拠点やデジタル映像研究所を設置するというプロジェクトである。
 その先導的役割を担うための「(仮称)パイロット(=水先案内人)ビル」の設計提案に当社の案が採用され,現在,施工は最盛期を迎えている。

●品質と環境への取り組み
  この現場はISO対応モデル現場となっている。環境に配慮しているのも大きな特徴である。産業廃棄物を極力出さないように資材はなるべくプレハブ化し,梱包はできるだけ簡素化する。不要なものは持ち込まない。リサイクルできるものは再利用する。ゴミは分別し,燃える物は現場で焼却するなど,ゴミの低減化に取り組んでいる。ここまで徹底しなければ,現在までに産廃の車100台分にも及ぶ廃棄物が出たはずだが,未だ手配した車両は1台だけである。

制震装置は,建物の各方向の剛性と耐力を考慮し2種類。
パッシブダンパの「ハイダム」が28基,
「ハニカムダンパ」が92枚組み込まれる。

●大都市で味わう開拓者気分
 ここは,大都市から至近な距離にあるとは思えない風景が広がっている。現場の周りは,つい最近「道路」が整備されたばかりである。道路ができる過程では,毎日のように通行できるところが変わり,没後は,油断をすると道に迷うことにもなりかねない。水道が引かれたのは今年の6月だった。昨年10月の着工以来8ヵ月間は,現場から一番近い既存施設「神戸シティエアターミナル(K−CAT)」まで,水を汲みに行き大切に使っていたのである。
 魅力あふれる新しい街の核となるこのビルの周辺は,数年後にはどのような地図が描かれているのだろうか。


<工事概要>
場所神戸市中央区港南南町1丁目
発注者神戸市開発管理事業団
設計当社関西支店建築設計部
規模鉄骨造一部鉄骨鉄筋コンクリート造(KM工法,制震構造)
地下1階,地上11階,塔屋1階 延べ17,126m2
工期1996年10月〜1998年3月
施工鹿島 関西支店


写真は月報KAJIMAより転載

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