都市のにぎわいを育む回遊性
大規模な再開発が進む日本橋地区。新たに建設された超高層複合ビル・日本橋三井タワーには,世界最高級の外資系ホテル「マンダリン オリエンタル 東京」が来月オープンする。また,三越日本橋本店の新館も昨年オープンするなど,街の姿を大きく変えようとしている。
こうした再開発の動きにあわせ,地下鉄駅コンコースと沿道のビルを一体的に整備する工事が進み,その一部が竣工を迎えようとしている。東京メトロ三越前駅と日本橋三井タワーを直結させる地下通路である。階段をなくしたユニバーサルデザインの歩行空間が広がる。
工事のポイントとなったのは,第一に地下鉄躯体と重要文化財・三井本館の間の掘削である。両者の変形防止は必要不可欠であり,計測管理を行いながらの“情報化施工”となった。
また,築30年の共同溝の改築は,国内初のケースとなった。共同溝内の重要インフラを保護しながら撤去・掘削し,地下通路の段差解消を実現した。
一連のプロジェクトの最大の狙いは,地下と地上,そして周辺建物とをつないで歩行空間のネットワークを創出し,地域を活性化させ,回遊性を高めることにある。訪れたくなる街,愛される街をめざし,日本橋を育む取組みが官民・地元一丸となって行われている。 |