特集:東京地下物語

地下と地上をつなぐ

工事概要
日本橋室町二丁目地下歩道工事
場所:東京都中央区日本橋室町
発注者:国土交通省関東地方整備局
設計:三井共同建設コンサルタント,日本設計
規模:開削工法 工区延長123m 幅員6m
工期:2003年8月〜2005年11月
(東京土木支店施工)
都市のにぎわいを育む回遊性
 大規模な再開発が進む日本橋地区。新たに建設された超高層複合ビル・日本橋三井タワーには,世界最高級の外資系ホテル「マンダリン オリエンタル 東京」が来月オープンする。また,三越日本橋本店の新館も昨年オープンするなど,街の姿を大きく変えようとしている。
 こうした再開発の動きにあわせ,地下鉄駅コンコースと沿道のビルを一体的に整備する工事が進み,その一部が竣工を迎えようとしている。東京メトロ三越前駅と日本橋三井タワーを直結させる地下通路である。階段をなくしたユニバーサルデザインの歩行空間が広がる。
 工事のポイントとなったのは,第一に地下鉄躯体と重要文化財・三井本館の間の掘削である。両者の変形防止は必要不可欠であり,計測管理を行いながらの“情報化施工”となった。
 また,築30年の共同溝の改築は,国内初のケースとなった。共同溝内の重要インフラを保護しながら撤去・掘削し,地下通路の段差解消を実現した。
 一連のプロジェクトの最大の狙いは,地下と地上,そして周辺建物とをつないで歩行空間のネットワークを創出し,地域を活性化させ,回遊性を高めることにある。訪れたくなる街,愛される街をめざし,日本橋を育む取組みが官民・地元一丸となって行われている。
 
地下歩道
全体計画イメージ図 資料提供:東京国道事務所
三越前駅の現状と計画
工事中の地下の模様(右上)と街並み(左上)。この間も歩行者への配慮は一貫され,仮囲いのストリートアートが登場し(下中央,同右),仮設歩道の覆工板は本設と間違えられるほど力の入ったデザインが施されている(左下)。
アクセス性の高まる地下鉄駅
 コンビニエンスストア,喫茶店,書店など,新たな施設がつぎつぎとオープンし,歩行空間が充実している地下鉄駅。地上とのアクセスもさらに便利になり,出入口の新設や改良が進んでいる。
 たとえば当社が施工に携わっている主な工事を挙げてみると,東京メトロ東西線・木場駅ではエレベータとエスカレータの新設,丸ノ内線・新中野駅では地下通路や隣接する新築ビルへの地上エレベータの設置,都営地下鉄三田線・板橋区役所前駅ではエレベータ新設のための地下通路の増築,そして鹿島本社に最寄りの赤坂見附駅(東京メトロ銀座線・丸ノ内線)では,外堀通りの地下を抜ける新たな出入口や,排煙のための空調機械室の新設が計画されている。
東京メトロ銀座線・丸ノ内線・赤坂見附駅(イメージ図)
東京メトロ東西線・木場駅(完成予想図)
都営地下鉄三田線・板橋区役所前駅(完成予想図/囲みが新設エレベータ)
東京メトロ丸ノ内線・新中野駅



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