特集:東京地下物語

地下と地下をつなぐ
工事概要
上野地下歩行者専用道及び
上野広小路駐車場建設一工区土木工事
場所:東京都台東区上野
事業者:東京都,台東区
発注者:東京地下鉄
設計:東京都,台東区 
規模:開削工法 掘削深26m,掘削幅平均42m
工期:2002年12月〜2007年2月
(東京土木支店JV施工)
文化の街の歩行空間ネットワーク
 博物館・美術館などの文化施設が広大な公園に集まる上野地区。古くから鉄道の結節点ともなってきたが,周辺の8駅の地下をつなぐ大規模なプロジェクトが進んでいる。道路の地下を有効活用して歩行者専用道を張り巡らせ,文化・商業・観光の街の地中に一大ネットワークを構築する。
 8つの駅は,JR,京成,東京メトロ銀座線と日比谷線の上野駅,銀座線・上野広小路駅,都営大江戸線・上野御徒町駅,JR御徒町駅,日比谷線・仲御徒町駅である。既存の地下通路と併せて延長およそ1kmに及ぶ大空間が上野の地中に誕生する。
 歩行者専用道と併せて建設されるのが,地下駐車場である。約300台の駐車場の整備によって沿道の路上駐車を減少させ,地上・地下の歩道整備とともに都市環境の向上を図る。
 実際の工事は,繁華街の交差点部での昼夜間作業となる。昼夜問わずに活動する沿道の店舗,歩行者,車両交通。地下には輻輳(ふくそう)する多様なライフライン・・・・・・工事の気苦労は数知れない。地下水が豊富ななかでの大規模開削でありながら,近接する不忍池に影響を与えないのも条件だ。
 現在は,昭和初期開通の銀座線周囲の掘削工事に差し掛かっている。列車の運行を妨げずに,地下鉄構造物を全長にわたって“下受け”しながらの掘削工事だ。歴史ある街が,いわば地面ごと再構築されようとしているのである。 
地下歩行空間の一大ネットワークの位置
完成イメージ。8つの駅が結ばれ,延長約320mの歩行者専用道と地下駐車場が築かれる。
工事が進む地上の街並み(上,左下)と地下の風景(右下)。東京でも最も長い歴史をもつ歓楽街のため,地上・地下ともにさまざまな施設が複雑に入り組んでいる。
三副都心,そして神奈川から埼玉を結ぶ新線
 首都最後の地下鉄新線といわれる東京メトロ13号線。JR山手線の内側の明治通りに沿って池袋・新宿・渋谷の三副都心を結び,2007年度の開業をめざして地下工事が進んでいる。
 既存鉄道網との相互乗り入れも予定され,池袋では有楽町新線から有楽町線,東武東上線と西武有楽町線・池袋線,渋谷では東急東横線とつながる。埼玉県南西部から神奈川県横浜方面までをつなぐ長大な路線が生まれることになる。
 また,都内地下鉄部でも他路線との連絡乗り換えが5駅で計画されており,東京のネットワークがさらに充実する。
 当社JVが担当するのは,明治神宮前〜渋谷間のシールド工事と渋谷駅の開削工事である。神宮前の沿道上には防音ハウスが所々で顔を出しているが,その地下30mでは最新の扁平(複合円形)断面シールド機が組み立てられ,現在,掘進をはじめる段階に至っている。
 一方の渋谷駅は,半蔵門線駅の直下にプラットフォームを築くという難工事である。相互乗り入れする東急東横線では,「人間と自然が共生する」をコンセプトに新しい渋谷地下駅が建築家・安藤忠雄氏によって設計中だという。
三副都心,そして神奈川から埼玉を結ぶ新線
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東京メトロ13号線(仮)・神宮前シールド工事
東京メトロ13号線(仮)・渋谷駅



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