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UHFの電波障害解消の救世主


−世界初のUHF帯テレビ電波吸収壁の開発−

 当社は, 呉羽化学工業と共同で,世界で初めて「 UHF帯テレビ電波吸収壁」を開発した。 これにより従来困難だったUHFテレビの電波障害の解消を比較的容易に行えるようになった。 本吸収壁は、電波吸収体としての炭素繊維を埋め込んだ外壁で、電波吸収特性に秀れ、軽く、施工性も良いのが特長である。


UHF帯テレビ電波吸収壁(概念図)

○電波はビルにぶつかると反射する
 電波は、ビルなどにぶつかると反射する性質を持っている。 このため、アンテナに直接届く電波と、反射して遠回りしてきた電波とが重なって受信されると電波反射障害が生じる。 テレビ電波の場合には、映像が何重にも重なって見えるゴースト現象が発生する。

○VHF電波の吸収はフェライトで
 これまで、テレビの電波障害を解消するため様々な研究が行われてきた。 当社でも波長の長いVHF電波の「磁界」成分の吸収特性に秀れる「フェライトタイル」を埋め込んだ「フェライト型電波吸収壁」を開発。 しかし、波長の短いUHF電波を吸収する技術は難しく、UHFの電波障害は効果的な対策が講じられずにいたのが実状だった。 今回開発した電波吸収壁は、炭素繊維を電気抵抗材として利用し、電波を吸収するという原理に基づいている。

○船舶レーダーの反射防止に応用も
 この電波吸収壁の活躍の場は、テレビ電波の吸収だけにとどまらない。 例えば、船舶の航路に架かる橋などに応用すれば、船舶レーダーの電波の乱反射低減にも貢献できる。 現在は、この原理をVHFの電波吸収に適用する研究開発を進める一方、いろいろな分野へ、幅広く応用するための研究開発を行っている。


5分の1モデルによる実験


写真は月報KAJIMAより転載

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