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粉末消火器を自動化・大型化してシステマチックに

集合住宅用の粉末自動消火装置を開発

 当社は消火器メーカーであるユージーと共同で、集合住宅向け密閉居室内火災抑制型粉末自動消火装置「パウデックス」を開発し、商品化した。

■高層マンション火災に備えて
 マンションでの火災は、火災そのものが引き起こす被害に加え、スプリンクラーをはじめ、消防署による消火活動でも、下階住宅へ水被害をもたらすという大きな問題を抱えている。
 当社では、東京都江東区南砂の高層マンション火災(平成元年8月)を契機に、火災時の消火活動における2次災害の防止という課題に取り組み、粉末消火薬剤の特長である火災の抑制作用を使って自動的に初期消火するシステムを考案し、各種性能実験を繰り返してきた。

■装置の概要と特長
 装置は粉末消火薬剤7kgが納められた本体容器、制御盤、各天井に設置した感知器ノズル、本体と感知器ノズルを結ぶ銅管、戸内警報装置等から構成されている。
 本装置の消火のシステムとしては、まず住戸の各部屋天井に設置してある感知器ノズルが出火を感知。粉末消火薬剤と圧縮空気の入っている本体容器に電気信号を送り、蓄圧空気で感知器ノズルから粉末を噴射し、消火するしくみである。
 従来のスプリンクラーと本装置とを比較すると、火災を感知して自動的に消火するという目的は同じである。しかし、スプリンクラーは配管に常時水圧がかかっているため、配管には強度のある太い管(直径25〜100mmの銅管)を必要とする。一方、本装置は基本的に火災感知時に蓄圧空気で粉末消火薬剤を放射するため、配管は直径10mmの銅管で済み、施工がしやすい。しかも経年変化を引き起こしにくく、またメンテナンスも簡便であるという特長がある。
 本装置の特長をまとめると以下になる。

  1. 出火を自動的にキャッチし、警報を発するとともに、自動的に火災を抑制・消火する。留守中に室内から出火しても、戸が閉めてあれば自動的に消火する。
  2. 火元住戸はもちろん、隣戸や下階の住戸への消火活動に伴う2次被害が少なくて済む。
  3. 設置費用は3LDK1戸あたり45万円程度で、メンテナンスは簡便で消火器の点検と同程度。
  4. バッテリーを内蔵しているので、停電時の火災にも作動。
  5. 配管は直径10mm程度の銅管で済むために、重量が軽く配管工事が簡単である。
  6. 住戸以外でも、独身寮やホテルあるいは水を嫌う収蔵庫、書庫等にも応用が可能である。
 また、初期消火で済めば、火災後も火元の住戸は、簡単なリフォーム工事で生活できるというメリットも持っている。
消火装置本体
システム図


写真は鹿島月報より転載

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