<別添資料>


ひび割れ制御設計法(SCRAD)の適用事例

 ひび割れ制御設計法を大分キヤノン大分事業所の物流施設に適用しました。この施設では、フォークリフトの運行が頻繁で、床スラブコンクリートにひび割れが生じた場合、フォークリフト車輪の衝撃荷重により欠け等が生じ損傷が広がる可能性があることから、ひび割れをできるだけ生じさせない対策が求められました。また、従来からの有力なひび割れ対策のひとつである誘発目地については、ひび割れと同様に衝撃荷重が目地部に与える影響が懸念され、採用が難しい条件でした。この建築物の床スラブ約26,000m2について、本設計法による対策を実施しました。
 
工事概要
 
適用建物

 対象の床スラブは、1階及び2階ともそれぞれ10の打設工区に分割する工程で、1回あたりの打設面積は最大1,300m2に及びます。この大きな打設工区内にはひび割れ誘発目地を設置せず、工区間の打継ぎ目地のみとする計画です。
 これに対して本設計法を実施したところ、普通コンクリートを使用した場合ひび割れ発生確率が90%を超え、ひび割れ発生が避けられないことが判明しました。また、この対策法として、材料(ひび割れ低減コンクリートの使用)、設計(鉄筋量の増加)、施工面での対策(打設範囲や養生期間等の配慮)を採用することにより、ひび割れ発生確率が30%以下にまで低減できることが判明し、実施工を行いました。
 工事に際しては、施工した鉄筋コンクリート躯体のひずみを実測し、本設計法による事前設計との比較を行いました。この比較では、設計段階におけるひび割れ発生確率の予測と実測値は、良好な対応を示していることが明らかとなり、本設計法の精度の高さが実証されました。
 なお、本設計法は既に、本件を含む5件の構造物に適用しています。  
応力と強度
 
床スラブ状況

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