[2007/4/12]

首都圏に大深度・長距離のガス導管シールドトンネルが
施工完了

  • 5機の小口径シールドマシンで同時に23kmを長距離施工
  • 保有技術を用いて路線を選定し技術提案型入札で採用

 鹿島(社長:中村 満義)は、東京ガス(社長:鳥原 光憲)発注の「高圧ガス輸送中央幹線建設工事」において、小口径シールド工事では最長距離クラスの23kmのガス導管トンネルの施工を完了しました。

高圧ガス輸送中央幹線建設工事プロジェクト

 東京ガスは、首都圏を環状に囲む形でガス輸送幹線を形成し、都市ガスの安定供給を行っています。近年、環境問題などの観点から都市ガスへの転換が進んでおり、今後さらに増加する都市ガス需要に対応するため、新たな高圧幹線を建設し、盤石な高圧幹線網を形成することが必要となりました。そこで2001年9月、プロジェクトの施工性および経済性などを考慮した施工技術と幹線の路線提案を受ける技術提案型の指名競争入札(設計/施工)を行いました。
 鹿島は、4台の親子シールドマシン(注)を2箇所の中間立坑から両方向に発進し、
2箇所で地中接合させることで施工進捗の向上を図りながら、大深度地下(地下40〜50m、最大65m)に高圧ガス幹線を形成する立坑の合理的配置と数の低減および長距離施工の提案で、工事路線を選定しました。これらの提案が総合的に評価された結果、プロジェクト実施の確実性、工費・工期の低減、実績に裏付けられた保有技術や新技術の提案で工事の受注に至ったもので、工事は鹿島・清水・大林・大成建設共同企業体で実施することになりました。

 本プロジェクトは、鹿島の保有する「大深度」「長距離施工」「高速施工」「立体化立坑」「親子シールド」「地中接合」といったシールド技術が結集されています。鹿島は、各種のシールド技術を今後も大都市部で計画されているプロジェクトへ積極的に展開していく方針です。

(注)親子シールド:円筒状の親機シールドの内部に子機シールドが内蔵し、親機シールドから分離し
    連続して小口径のトンネルを子機シールドのみで掘進することができるシールド機。

本プロジェクトの概要

 本プロジェクトは、首都圏を囲む既設の環状ガス幹線の中央部に、新たに高圧幹線を形成していくもので、東京都江戸川区から埼玉県草加市に至る全長23kmのルートを小口径の泥水式シールドマシンで掘削するものです。

<首都圏のガス幹線網>
首都圏のガス幹線網

本工事の概要

 全路線において、地質的に安定した大深度地下(地下40〜50m、最大65m)を掘削することで、施工の安全性を確保します。5本の泥水式シールドマシンを用いて、そのうち4本が親子シールド機(親シールド:セグメント外径2,950mm、内径2,740mm)で、北葛西立坑と立石立坑の2箇所から両方向に掘進します。また、施工の進捗を図るため両立坑から50m区間までセグメントを運ぶ台車を待機させるスペースが必要で、その付近まで親子シールドで掘進した後、親子分離を行い、到達立坑もしくは地中接合地点まで子機シールドで進み、全路線の施工を完了します。
 2004年から5本のシールドが掘進開始し、2007年2月23日に新小岩、加平地点の機械式地中接合が完了し、このたび最後の子機シールドが葛西立坑に到達し、小口径では国内最長距離クラス(全長23km)の掘進が完了しました。

<中央幹線の施工内容>
中央幹線の施工内容

本工事の特徴

本工事の特徴は次の通りです。

〇親子シールド機の採用と機械式地中接合
 親子シールドから分離した子機シールドが、都内人口密集地の安定した土質(大深度地下40〜50m、最大65m)で地中接合をすることで、立坑数を削減し近隣への影響も低減します。機械式地中接合は、長距離掘進のため受入(先着)・貫入(後着)両対応接合シールドマシンを採用し、どちらのシールド機が先に接合地点に到達しても受入が可能です。

<親子シールドマシン全景>
中央幹線の施工内容

新小岩・加平の機械式地中接合は、それぞれ2台のシールドマシンが両側から掘進し接合地点で両機の伸縮カッターを縮小します。受入側はカッタヘッドとスライドフードを引き込み、貫入側は縮小したカッタヘッドとスライドフードを押し込み、2台のマシンを接合して一体化します。

<地中接合の手順>
<地中接合の手順>

○立体化発進立坑の設置
 高速掘進を維持する必要があるため、狭い立坑内でセグメントの搬出入や掘削残土の処理能力の高めるため、立坑内に以下のシステムを採用しました。

工事概要

工事概要

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