[2007/7/2]

最先端の研究開発拠点を目指して技術研究所を建替え

  • 建設業界では世界最高レベルの技術研究所
  • 社会や顧客のニーズを先取りし、常に進化を続ける研究施設
  • 技術が体感できるライブ・ショーケース

  鹿島(社長:中村満義)は、このたび建設業界で初めて設立された当社の技術研究所(1949年創立)を、まもなく60周年を迎えるに当たり、全面的に建替え、社会や顧客に還元できる最先端の研究開発拠点を目指して、新たな技術研究所を創設します。
 新たな技術研究所は、飛田給研究センターにおける研究本館並びに実験棟の2棟からなり、総延床面積は約30,000m²で、2007年6月に着工し2011年3月完成予定です。

 建設業界では、入札・発注制度の変革や顧客ニーズの急速な変化から、今後の受注競争はさらに厳しくなるものと予想されています。
 当社は業界初の技術研究所創立以来、つねに次世代を見据えた研究・技術開発に積極的に投資し、我が国初の超高層ビルである「霞が関ビル」の建設、青函トンネルや明石海峡大橋といった社会インフラの建設、世界初の制震構造の実現など、新たな市場に対する社会や顧客のニーズに応えてきました。
 現在の厳しい市場環境下においても研究・技術開発に戦略的な投資を行い、技術を源泉とした収益力の向上並びに技術の優位性による受注力強化を目指していきます。

 具体的には、構造部材を大幅に低減した構造形式、ロボット化による現場作業の無人化といった最先端の研究開発や、次世代社会インフラの大深度地下利用、高度医療やナノデバイスなどの次世代建築市場に対応した技術開発を行っていく計画でいます。また、地球温暖化防止技術、環境保全・再生、防災関連技術などの研究・技術開発も強化していく考えです。

 これらの研究・技術開発を支える研究拠点として、次の3つのコンセプトを掲げ新たな技術研究所を創っていきます。

1.「知識創造」研究の場のあるべき姿 
 研究者が、物事の本質を探究して新しいものを生み出せる次世代ワークプレイスを提案します。次世代ワークプレイスとは、人が自然に集まる空間を創り、研究者間の交流を積極化させる工夫や研究者の行動や心理を分析することにより、研究スタイルに応じた柔軟な執務スペースを実現させるものです。これらで得られた成果は、今後の研究所の一つのあり方として社会や顧客に提案していく予定です。
 また、社会とともに未来を開く場を実現するために、社会や顧客のニーズを先取りし、独創的な次世代の研究・技術開発を行えるよう進化を続ける研究施設を目指します。

2.「技術の鹿島」その飛躍の場
 研究・技術開発により生み出された成果は、実際の建物や構造物に使われてこそ建設技術としての本来の成果となります。当社が保有している技術のうち70件を厳選して建物に適用し、建物自体を試験体とした実験・実証を行うことで、適用した技術の飛躍の場とします。例えば、地震時のリアルタイム情報から危険回避や復旧支援を行うリアルタイム防災システムを始めとする各種センサーを用いた建物の健全性モニタリングシステム、省エネルギーと快適性を両立した温熱・視環境システム、分散電源に対応した無線による新しい電力供給システムなどの技術です。
 また、将来にわたって研究・開発成果の適用を続け、実験・実証を繰り返していきます。さらに、来訪者にその技術を「体感」してもらうライブ・ショーケースとしての機能も果たします。

3.「地域と共に」そして地球へのメッセージ
 東京多摩地区に位置する調布市飛田給で、半世紀の歴史を築いてきた研究所として、地域や環境との共生による快適環境を創出していく考えです。これは調布市が目指す「武蔵野の森と多摩川の自然を生かしたふれあいと憩いのまちづくり」に沿った計画でもあります。
 具体的には、当社の緑化技術やビオトープ創生技術などの自然再生技術を活用した「都市型里山」を構築します。これは里山の緑と都市の緑を融合したもので、快適な研究活動を支援するとともに、その一部を地域へ開放していきます。これは当社の地球環境へのメッセージでもあります。

※「里山」とは、かつての農村に広く見られた、薪炭林や採草地など人間の手によって管理された自然(「二次的自然」)、農地、小川、溜池などを構成要素とする景観である。里山では、野生生物と人間が共存してきた。「都市型里山」とは、「里山」のしくみを参考に、都市域で人間と野生生物が共存できる場を実現するものである。

建物概要

〇 研究本館
 ■ 所在地:東京都調布市飛田給2-19-1
 ■ 敷地面積:13,205m²
 ■ 構造規模:SRC造+木造、免震建物、地上5階/地下3階建
 ■ 延床面積:22,060m²
 ■ 竣 工:2011年3月

〇 実験棟
 ■ 所在地:東京都調布市飛田給2-19-1
 ■ 敷地面積:6,590m²
 ■ 構造規模:RC造、地上4階/地下2階建
 ■ 延床面積:7,150m²
 ■ 竣 工:2008年8月

実験棟の完成イメージ
実験棟の完成イメージ

完成イメージ(左:実験棟、右:研究本館)
完成イメージ(左:実験棟、右:研究本館)

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