[2007/11/1]

鹿島、災害時マネジメントシステム
「BCMプラットフォーム」を構築

−「小さな本部で、大きく活動」の事業継続訓練で活用−

 鹿島(社長:中村満義)は、11月1日(木)、自社で策定した「事業継続のための計画と取り組み要綱(BCP)[首都直下地震]」に基づく、事業継続訓練を本社、東京建築支店、東京土木支店を対象に実施しました。訓練では、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3、最大震度6強の地震(内閣府中央防災会議策定)発生を想定しました。
 今回の訓練では、「小さな本部で、大きく活動」のキャッチフレーズの下、新たに構築した「BCMプラットフォーム」を活用し、災害時の迅速な情報発信と即時情報共有、復旧計画立案を目指しました。
 BCMプラットフォームは、地震発生直後に被災状況や復旧対応状況に関する情報を共有する「統合情報基盤」であり、1.発災直後に首都圏の当社の拠点施設の被災状況を推定表示する建物被災モニタ、2.広域震度分布や従業員、当社施工物件の被災推定結果を表示する広域被災マップ、3.実際に現地で確認した情報を伝達整理する緊急情報バインダ、4.被災推定のために必要なデータを蓄積しておくBCMデータベース、の4つからなります。
 BCMプラットフォームには、イントラネットが通じる場所であれば社員はどこからでもアクセスできるため、対策本部と同等の情報を共有することができます。よって、対策本部の設置場所によらず、「小さな本部で、大きく活動」することができます。
 訓練は、1)各工事事務所から被災状況を実際に入力、2)支援を行う各担当部署がそれら情報を即時に整理、3)復旧支援計画を立案、4)対策本部にて意思決定、という段取りで進めました。今回、BCMプラットフォームを活用した、被災最前線にて得られた情報が即座に対策本部のもとに集約され明確に指示するというプロセスの有効性を確認するとともに、BCPを執行する上での課題を抽出しました。
 また、上記に加え、本社、赤坂別館では、早期地震警報による避難訓練や種々の建物内の設備機器の自動制御確認と手動復帰に関する訓練も実施しました。
 本システムにつきましては自社での使用のみならず、BCMを検討されている企業・団体様等への適用も考えてゆく所存です。

背景

 当社が施工した物件は、数万件にも及び、災害発生に伴う顧客リスクの評価や防災技術といった事前対策のみならず、発災直後からの早期対応が求められます。この時に迅速に対応するためには、各所に分散された拠点から、被災最前線へ復旧支援することが有効であると考えられます。そのために、全社横断的に、情報を共有することが不可欠となります。このために種々のツールを開発し、早期復旧に向けたそれらを統合した情報基盤「BCMプラットフォーム」を構築しました。

BCMプラットフォームの概要

BCMプラットフォーム
図1 BCMプラットフォーム
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1.建物被災モニタ
 建物被災モニタは、当社災害時拠点施設(本社、支店、営業所)の被災状況を表示します。各施設に設置された地震計で観測されるデータと、あらかじめ準備しておいた建物モデルと耐震性能データベースをもとに、地震発生後に直ちに被災状況を推定し、その結果をプラットフォームに伝送し、建物被災モニタに表示します。発災直後に、遠隔地も含めた当社施設の被災状況を逸早く推定し、早期復旧に向けた活動を支援します。

地震計と計算・伝送処理装置
図2 地震計と計算・伝送処理装置

2.広域被災マップ
 建物被災モニタが、個々の建物の詳細な被災状況を共有する機能であるのに対し、広域被災マップは、首都圏全体や各営業所の管轄地域など対象地域を選んで推定被災状況を地図上に表示し共有する機能です。対象とする耐震性能と震度をもとに、広域での被災状況を推定し、地理情報システムを利用して地図上に表示します。BCMデータベースをもとにして、当社施工物件や従業員の被災状況を推定し、位置情報とあわせてわかりやすく表示します。これにより、被災規模と復旧支援に従事できる人員などの情報を共有できます。

広域被災マップ
図3 広域被災マップ

3.緊急情報バインダ
 緊急情報バインダは、従来、現場や拠点、対策本部間で電話やFAXでやり取りされる報告を、イントラネットを介したデジタル情報にて行うツールであり、コミュニケーション手段として活用します。発災時の各報告は、単票定形式のデジタル情報にて表し、イントラネット上のWebアプリケーションにて入力、BCMプラットフォームに蓄積して行います。各報告には、自動仕分けのためのタグが付けられるので、社員は各人の必要な情報を抽出し、関連するレポートを即座に手にすることが可能となります。また、プルダウンによる選択方式を採用しているので、状況を記号化して表現・保存し、地図上で状況を表示する際の指標や統計処理に役立てます。

緊急情報バインダによる情報の流れ
図4 緊急情報バインダによる情報の流れ

4.BCMデータベース
 BCMデータベースには、建物被災モニタや広域被災マップでの被害推定に活用するために、施工済建物の構造体、設備や二次部材などの耐震性能を指標化して蓄積しておきます。また、従業員の被災度推定に利用するために、自宅の耐震診断ツールを準備しておき、診断結果のデータを蓄積し被災度推定に活用できるようにしています。

BCMデータベース
図5 BCMデータベース

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