鹿島(社長:中村 満義)と川崎重工 (社長:大橋 忠晴)の2社は、円形・矩形・馬蹄型など多様な断面に対応でき、硬質地盤や地中障害物切削に威力を発揮する、シールドトンネル掘削のためのアポロカッター工法*を開発し、このたび、この工法に採用されるシールド掘進機が完成しました。
アポロカッター工法は、多様な断面を掘削でき、カッターが高速で回転するために硬質な地盤にも適用できることが特徴であります。具体的な掘削工法は、密閉型シールド掘進機先端部のメイン回転ドラム(公転ドラム)上に揺動フレームを介して回転式カッターヘッドを設置し、カッターヘッドが高速で回転(自転)しながら、公転ドラムによって公転を行うことで掘削する、シールド掘削機構としては今までに無い工法です。
本工法は東急電鉄東横線地下化工事へ鉄道複線断面として初めての適用が予定されています。今回完成したシールド掘進機は、東横線渋谷駅周辺の現地に今後移設され、2012年度の地下化に向けて来年の4月から掘進を開始する予定です。
*アポロカッター工法/APORO-CUTTER工法 (All[あらゆる] Potential[可能性を秘めた] Rotary[回転式] Cutter[カッター])
鉄道工事や地下通路においては、横方向に一定の広がりをもった空間を効率的に掘削するために矩形断面のシールドトンネルのニーズがあります。また、都市部における大深度法の適用に伴い、硬質な地盤の掘削に対応できるシールド掘進機のニーズも増加する傾向にあります。鹿島は、シールド掘進機のカッター部分の先端に伸縮カッターを使用したWAC工法(ワック工法)やEX -MAC 工法(イー・マック工法)を矩形断面の掘削方式として、これまで開発・適用しています。一方、川崎重工も硬質地盤を含めた多様な土層に対応したシールド掘進機の製作技術を有しており、特に大口径シールドの分野においては、東京湾アクアラインなど多数のシールド掘進機を手掛けています。このたびは、両社の有するシールド工法の技術を融合し、硬質地盤においてより優れた切削性を発揮できるアポロカッター工法を開発するに至ったものです。
公転ドラム上に揺動フレームを介してカッターヘッドを設置し、カッターヘッドが高速回転(自転)しながら揺動フレームの揺動角度と公転ドラムの公転角度を位置制御しながら、任意断面を掘削するものです。 今回適用する東急東横線地下化工事においては、公転ドラム、揺動フレーム、カッターヘッドからなるカッター機構を水平方向に2連組み合わせて、鉄道複線断面を包括する矩形断面を掘削します。
アポロカッター工法の掘削メカニズム
本工法の主な特徴は以下のとおりです。
円形・非円形の任意断面を掘削
硬質地盤掘削性能確認実験状況
断面形状の異なるトンネルに転用可能
本工法については、これまで開発し採用してきた矩形断面の掘削工法に、さらにメニューを追加し、掘削対象となるトンネルの状況に応じて適切な工法を積極的に提案していく考えです。
工事名 | (13号相直)東横線渋谷〜代官山間地下化工事(土木工事第1工区) | |
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工事場所 | 東京都渋谷区渋谷3丁目〜東1丁目 | |
発注者 | 東京急行電鉄株式会社 | |
工期 | 2005.1〜2015.3 | |
施工者 | 鹿島・西松・鉄建建設共同企業体 | |
施工延長 | 577.0m | |
セグメント外径 | 縦7.1m 横10.3m | |
土質 | 固結シルト、砂礫、細砂 | |
掘進開始 | 2009.4 | |
シールド掘進機 | 7.44m(縦)×10.64m(横)泥土圧式シールド掘進機 |
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