[2008/12/02]

どこでも大地震を体感できるシステム
「可搬型体感用振動台<ポータ震(ぶる)>を開発」

  • 幕張メッセ国際展示場にて開催される「セミコンジャパン2008(第32回)」(2008年12月3日〜5日)に出展予定
  • 「直下型地震の建物の揺れ」や「東海・東南海地震などの巨大地震」の超高層ビルの水平全方向の揺れを再現
  • それらの地震に対する免震構造や制震構造の応答低減効果を直接体感可能
  • 分解して運搬し、現地で簡単に組み立てられることで、どこでもデモが可能

 鹿島(社長:中村満義)は、このたび東京工業大学 機械宇宙システム専攻 広瀬・福島研究室の協力の下で、 どこにでも簡単に持込が可能で、地震の建物の揺れを実際に人が乗って体感できる可搬型小型振動台<ポータ震(ぶる)>を開発しました。

 本システムは、今後発生が予想される「直下地震」や「超高層ビルへの影響が懸念される長周期地震」などの揺れを実際に体感することで、 揺れの大きさを実感でき、免震構造や制震構造を適用した建物の揺れの低減効果をよりリアルに感じることができるものです。

 具体的には、東海・東南海地震などの巨大地震で想定される地震波を使って超高層ビルの揺れ(震度6程度)を体感できるとともに、 そのビルに免震構造や制震構造を適用した場合、揺れがどのくらい低減するかも合わせて体感できます。 これまで、地震波を使って正確にこれらの揺れを再現するには、大型振動台など非常に大がかりかつ高価な装置が必要でしたが、 今回開発した<ポータ震(ぶる)>は、どこへでも運搬でき、どこでも組み立てられ、どこでもデモンストレーションが可能です。

 建設業には、大地震発生に備えて安全な建物の建設や、人員等の安全確保などの重要な役割が期待されています。 鹿島においても免震構造や制震構造の展開など、安全な社会基盤を構築のために様々な取り組みを行っております。 この可搬型体感振動台は、多くのビルオーナーや新築、改修を予定されている方々に、 免震・制震構造についてよりいっそう理解を深めていただき、さらなる普及を図るためのツールとして活用することにしています。

開発の背景

 大地震時などの状況を体感するための装置として、すでに大型の振動台や起震車などが開発、利用されていますが、 これらの装置は非常に大がかりで且つ高価なため、広範囲に普及するまでは至っていません。 また、近年話題に上ることの多い長周期地震動の超高層ビルの大振幅の揺れを再現できる既存の装置は水平1方向に限定され、 これを水平2方向に拡張するには大掛かりな装置が必要でした。また、既存の装置は基本的に常設、固定式のため、揺れを体感するためには装置設置場所まで出向いて行く必要がありました。 このため、実際に大地震時の揺れを体感できる人の数が限られるのが実情です。
 そこで、どこにでも簡単に持込が可能で、地震の建物の揺れを実際に人が乗って体感できる可搬型小型振動台<ポータ震(ぶる)>を開発しました。

システムの概要

 本振動台は、揺れを再現するためのコンピュータ、駆動に必要なモータおよび電源を内蔵した、 椅子などを乗せられるテーブルと、振動台を駆動するための車輪から構成されています。(図1) またテーブルは4個のユニットに分割することが可能で1個あたりの寸法は約50cmx50cmx10cm、 総重量は約34kgと軽量かつコンパクトな装置で、乗用車のトランクに入れて運搬できるサイズになっています。 そのため、ビル建設を予定されているお客様の元にこの装置を直接持ち込んで、手軽に体感いただくことが可能です。
 組立時には約1m角の振動台が構成され、4個の車輪を連動して駆動させることで、 加速度の大きな直下型地震や長周期地震動を受ける超高層ビルの揺れ幅2〜3mの振動を再現して、 立ったり椅子に座っての体感が可能となっています。(図2)
 さらに、駆動用のコンピュータや電池を内蔵しているため、 電源のない場所などでも運転が可能となり、あらゆる場所での振動体感が可能です。

図1 振動台ユニット(分割した状態)
図1 振動台ユニット(分割した状態)
図2 振動台組立後(椅子を乗せた状態)
図2 振動台組立後(椅子を乗せた状態)

今後の展望

 今回開発した振動台は分解可能でかつ比較的軽量であるため、新築建物を計画されているビルオーナー様や企業の方々に対して、 装置を持ち込んで実際の揺れや制震、免震を採用した場合の揺れの低減効果を体感していただける営業ツールとしての活用を予定しています。
また、ユニット間に補助ユニットを追加することで同時に複数の方が振動体感可能となるような拡張を行ったり、よりリアルな振動体感が可能となるようなシステムへの拡張を行う計画をしています。

 

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