[2009/05/08]

大断面4連アーチカルバートの施工

  • 国内でも例を見ない幅60メートルの大断面4連アーチカルバート
  • 合理的な工場生産方式の採用により工期短縮・品質の確保に有効

 鹿島(社長:中村 満義)は、京都と大阪を結ぶ第二京阪道路において、延長220m の区間で地中連続壁、グラウンドアンカーを用いて開削し、RC構造の4連アーチカルバートと4連ボックスカルバートを築造しています。

 本道路は「緑立つ道」の愛称で親しまれ、環境、景観に配慮した道路であり、当社が施工する国守工事は、大阪府北東部、寝屋川市域の西日本高速道路鰍ェ所掌する工事区間に位置しています。この度、延長140mの4連アーチカルバート区間において構造物が完成しました。

 本工事の大きな特徴は、わが国でも例を見ない幅60メートルにわたる大断面の4 連アーチカルバートが採用されていることです。

アーチカルバート断面
アーチカルバート断面

本工法の特徴

 本工事では開削後に築造するカルバートに大断面4 連アーチカルバートが適用されています。4 連アーチカルバートは、底版および上床版をアーチ形状とすることで、在来工法のボックスカルバートよりも薄い部材厚を実現しています。これは上載土および地盤反力等の荷重に対し、アーチアクションによる部材軸力の効果が有効に働くことによるものです。また、4連アーチカルバート全体の施工を合理的な工場生産方式による流れ作業を実現し、工期短縮と安定品質の確保を図っています。

本工法の概要

  1. 打設ロット割りおよびブロック割り
     4 連アーチカルバートは移動式スライドセントルで施工しています。作業時間の制約から施工部位は底版、側壁、アーチ付け根、アーチスラブの4 部位に分割し、各部位を最も効率良く施工可能な施工設備を計画しました。国守工事の4連アーチカルバートは、全10 ブロックで、ブロック長は15mと10m の2パターンです。

    アーチスラブの施工状況
    アーチスラブの施工状況

    側壁・アーチ付根の施工状況
    側壁・アーチ付根の施工状況

    部材名称とコンクリートの打設ロット割り
    部材名称とコンクリートの打設ロット割り

  2. 工場生産方式の採用
     作業時間の制約から打設ロットを細分化したことから、通常の施工では工期が長くなることが懸念され、4 連アーチカルバートの構築では、各ブロックの施工日数の短縮が重要な課題となりました。そこで、工事がブロック毎の繰り返し作業であることに着目し、移動式セントルおよび移動式のクレーン設備を各部材の構築に投入し、同時期に底版からアーチスラブまでの全部位の構築を流れ作業で行なう工場生産方式となっています。

    工場生産方式の概要
    工場生産方式の概要

  3. 埋設型枠を用いた底版工期短縮策
     工場生産方式で行う4連アーチカルバートの施工では、底版からアーチスラブまでの全ての部位の構築がほぼ同一の所要日数とし、全ての部位が足並みを揃えて次ブロックの施工に取り掛かかることが、各ブロックの施工日数の短縮を実現するための必須条件となります。底版は一日のコンクリート打設量の制約から3 分割での施工となり、また、鉄筋等の資材量が多く、施工日数を最も多く必要とします。そこで、底版の工程短縮を目的として、モルタル靭性ボードを型枠面版に利用し、本体内に埋設可能な打継ぎ型枠を開発しました。凹形状の面版表面と部材中央付近に設けた段違いによりせん断力への抵抗性を確保しています。また型枠の組払し手間、打継ぎ処理手間、鉄筋組立作業の手待ち等を解消し、底版で約20 %の工期短縮が可能となりました。

    底版施工状況と打継型枠
    底版施工状況と打継型枠

工事数量

項目
仕様
数量
掘削 324,000m3
埋戻し 流動化処理土含む 108,000m3
地中連続壁 TRD ,全旋回 13,904m2
グラウンドアンカー 除去式 2,555本
カルバート 4 連BOX-C 延長 80m
カルバート 4 連アーチカルバート延長 140m
コンクリート 30-12-20N 61,198m3
鉄筋 SD345 12,715t
移動式セントル 側壁、アーチ付根、アーチ 16 基
クレーン設備 移動式ジブクレーン、橋型クレーン 4 基
 

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