鹿島(社長:中村 満義)は、羽田空港の新国際線ターミナルビル建築工事において16000m2という規模の大屋根にスライド工法を適用しています。建物の下を京浜急行のトンネルが横断しておりクレーン作業に制限があることや、これほどの大屋根の全範囲をクレーンでカバーするには限界があることなどから、今回のようなスライド工法を採用したものです。スライド工法を適用した例はいくつかありますが、屋根のデザインに特徴があり、これほど大規模なものを建築工事に適用するのは初めてです。今回の工事ではスライド工法に構造と仕上げ材の施工を一体化するなどの工夫を随所に織り込み、合理的な工法を実現しています。
東京国際空港再拡張事業のうち国際線地区においては、現在、国際線旅客ターミナル、エプロン(駐機場)、貨物ターミナル及び国際線ターミナル駅の新設などの整備が急ピッチで進められています。当社JVはS造5階建・延床面積約15万9千m2の旅客ターミナルビル工事のうち(A・B工区)を担当しています。 旅客ターミナルの構成は、1階が車によるアクセスのアプローチ、2階は到着階ロビー、3階は出発階ロビー、4・5階は商業・サービス施設となります。それらを覆う大屋根は柱スパン69m、トラス間スパン18mの部材を10個連結した大架構立体トラスからなっており、その施工を横スライド工法で行なうものです。
完成予想パース
今回の工法では3階までの床コンクリートを先行打設し、その上部をスライド工法で施工するものです。施工順序は以下のとおりです。
69mの大スパンかつ弓形に反り返ったトラスの大屋根施工に当っては、鉄骨の工作が複雑であるため、製品精度、施工精度管理の徹底が必要となり、トラスの変形や施工時の風荷重対策も重要となります。またこれらを27ヶ月という短工期で仕上げなければならないため、今回は屋根の仕上げを一体化した工法とし、構造上の性能はもちろん、施工中を含めた防水性能の検討、漏水対策も細部にわたり検討することで対応しています。
また、建物完成後の地震・風による大屋根挙動の制御のため、制震ダンパーの他、新たにアンボンドCWマリオンを開発し今回の建物に採用しています。
施工中の屋根架構
スライド用ジャッキ
工事場所 | 東京都大田区羽田空港二丁目 |
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発注者 | 東京国際空港ターミナル(株) |
設計 | 羽田空港国際線PTB設計共同企業体 ((株)梓設計・(株)安井建築設計・ペリクラークペリ) |
工期 | 約定 2008年5月1日〜2010年7月31日 |
規模 | S造 地上5階 <全体>最高高さ43.15m、 建築面積 約56,444m2、延床面積 約159,000m2 うち鹿島JV(A・B工区) 建築面積 約51,200m2、延床面積 約147,300m2 |
主用途 | 空港旅客ターミナル施設 |
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