[2010/10/04]

オーダーメイド型の土壌・地下水浄化工法を実現

〜「バイオブレンディー工法」を開発〜

 鹿島(社長:中村 満義)は、このたびVOC(有機塩素化合物)により汚染された土壌や地下水を浄化する「バイオブレンディー工法」を新たに開発しました。本工法は、汚染状況(浄化目的、汚染濃度、汚染範囲、地盤、地下水流速など)に応じて、VOCを分解する微生物を活発化させる栄養剤を調合することにより、オーダーメイド型の土壌・地下水浄化を実現します。

 トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどのVOCによる土壌や地下水の汚染は、不燃性金属洗浄剤やドライクリーニング溶剤として広く工業利用された結果、電気・電子や機械、クリーニング工場など様々な工場跡地などで検出される機会が多くなっています。国内では土壌・地下水汚染の1/3程度を占めます。

 これまで、VOCの汚染対策は、井戸を掘って汚染物質を揚水する方法や掘削除去する方法が一般的でしたが、浄化までの期間や設備費、掘削後の汚染物質の処理費などが課題となっていました。汚染除去が確実な方法として、鉄粉による還元法も使われていますが、高コストとなり採用が見送られるケースもありました。また、土壌汚染対策法の改正により、原位置浄化など、汚染土壌を搬出しない対策が強く求められるようになりました。

 このような背景から、低コストでVOCを原位置浄化する「嫌気バイオ法」が注目を集めています。嫌気状態(酸素の無い状態)では、VOCを分解する微生物は酸素の代わりに汚染物質を栄養源に生物活動を行います。この仕組みを応用した方法で、汚染物質が存在する場所に栄養剤を注入することにより、地中に存在する分解微生物の働きを活発化させ、浄化を促進します。
 しかし、汚染状況(浄化目的、汚染濃度、汚染範囲、地盤、地下水流速など)を把握して、適切な栄養剤を使わないと浄化ができないことがありました。また、汚染場所に正確に栄養剤を注入する工法の選択も難しく、高度な管理技術が求められます。

 そこで当社は、ドレッシングなどに使われるエマルジョン油、乳製品、コーヒーから抽出した成分などをベースに、汚染状況に応じて、様々な化合物を混ぜ合わせた栄養剤を用いる「バイオブレンディー工法」を開発しました。即効型や持続型など汚染状況に応じた最適な栄養剤を作り出すことができます。本工法の特徴は、低コストで高い浄化効果を持つことです。また、独自開発したエマルジョン油は、従来にないナノサイズの粒径(平均250〜400nm)を実現し、地盤への優れた浸透性を可能にしました。

 当社技術研究所にて、浄化工事を行っている現場の汚染状況を詳細に分析し、栄養剤を調合して性能確認を実施したところ、優れた浄化効果を発揮しました。

 本工法に加えて、これまで培ってきた様々な土壌改良や拡散防止などの施工技術を組み合わせることにより、完全オーダーメイド型の嫌気バイオ工法を実現できます。これにより従来工法と比較して工事費全体で約5〜20%のコストを削減できます。

 今後、当社では、低コストで確実な浄化が可能な本工法をVOCに汚染された土壌・地下水の浄化技術として積極的に展開していく方針です。

 なお、本技術は、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「2010土壌・地下水環境展」(10月13日〜15日)に出展予定です。

鹿島:オーダーメイド型嫌気バイオ工法「バイオブレンディー工法」イメージ
鹿島:オーダーメイド型嫌気バイオ工法「バイオブレンディー工法」イメージ


【具体的な使用例】

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