鹿島(社長:中村満義)と安川電機(社長:津田純嗣)は、医薬品工場や食品工場において、原料の段ボールや紙袋などの梱包を開封するロボットを開発しました。これまで人の手で行われていた開梱作業をロボットにより自動化するシステムは日本で初めてです。
近年、労働人口減少に対する適正な労働力の確保、価格競争力の向上など、製造業における生産方式の変革が求められています。鹿島と安川電機は、生産ラインの自動化がその変革の一つであるととらえ、2009年から共同で生産ラインにおけるロボット適用の研究を進めています。本共同研究において、このたび原料および資材の開梱を自動で行うシステムを開発しました。このシステムにより、作業の効率化により生産性が向上し、これまで人が行っていた重労働をロボットが行うことで労働環境の改善に大きく寄与すると考えています。
本システムは、現在施工中の医薬品工場において資材開梱作業への導入が既に決定しております。
双腕ロボットMOTOMAN-SDA20D
ダンボール開梱作業
医薬品をはじめとする化学品工場および食品工場では、製造現場において梱包材の紙粉等が製品に混入することを防ぐため、製造室に原料、資材を持ち込む前の工程において、ダンボール、紙袋などの外装を剥離する「開梱」作業を行います。この作業は、様々な形状の荷姿に対応する必要があること、また、開梱のための動作が複雑であるという性質から、これまで機械化することは困難とされており、人の手で行われているのが現状でした。しかし、単調作業かつ重労働でもあるため、自動化への要望が高まっていました。
そこで、生産ラインへのロボット適用を共同で研究していた鹿島と安川電機は、相互の保有技術およびノウハウを投入し、双腕ロボットを利用した自動開梱システムを開発いたしました。
本自動開梱システムは、ダンボールおよび紙袋で提供される原材料の開梱作業を自動で行います。あらかじめ原材料のデータを複数登録しておくことで、異なる外形の荷姿にも対応可能です。
安川電機が開発した7軸双腕ロボット「MOTOMAN-SDA20D(可搬重量:片腕20kg)」を中心として、ロボットへの原材料の供給、開梱した原材料の搬送および剥離した外装の回収を行うコンベヤ群から構成されます。
ロボットは複数の「ハンド」と呼ばれる人間の手にあたる道具を用いて、対象物の位置決め、カッターナイフによる外装切断、原材料の取り出し、外装の解体・回収等を行います。切断対象物の位置を認識したり、動作の完了を確認するための各種センサーを備えており、作業ミスの防止機能、リトライ機能を搭載しています。
ダンボールの開梱
紙袋の開梱
本システムは次の特徴を持ちます。
現在、鹿島と安川電機は、開梱作業以外の自動化が望まれる工程への適用を目指し、研究を継続しています。また、無菌エリアのように人が進入することで品質維持が難しくなる、または高活性エリアのように人に害のあるエリアなどにおいてロボットを適用することで、製品品質の向上、安全性の向上を実現する技術についても開発を進めており、新規プロジェクトにおいて順次適用していく予定です。
なお、鹿島は6月7日(火)から10日(金)まで東京ビッグサイトにおいて開催される「国際食品工業展(FOOMA)2011」に出展し、本開発成果の紹介を行う予定です。
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。