鹿島(本社:東京都港区、社長:中村 満義)は、このたび東京建物(株)等が推進する大規模都市開発事業「中野セントラルパーク(※1)」の住宅棟(中野セントラルパーク レジデンス)にCO2(二酸化炭素)を強制的に吸収させるコンクリート「CO2-SUICOM(※2)」を適用しました。
CO2-SUICOMは、中国電力(株)、鹿島建設(株)、電気化学工業(株)が共同開発したコンクリートで、製造時にCO2を強制的に吸収させることにより、CO2排出量を実質ゼロ以下にできます。これまで舗装ブロックやフェンス基礎など土木分野の外構材料として利用されていますが、建築分野で適用されるのは初めてとなります。
「中野セントラルパーク」では、プロジェクトの特徴の一つに環境配慮を挙げており、様々な環境関連技術の適用や緑地を活かした開発計画が進められています。その一環として、住宅棟のバルコニー天井部分に、環境にやさしく、高強度と耐久性を併せ持つCO2-SUICOMを採用しました。
また、当社は従来から建物や構造物のライフサイクルを通じCO2削減を積極的に推進してきましたが、主要な建設材料であるコンクリートを製造する際に大量に発生するCO2に対しては、革新的な削減手段がないのが現状でした。そこで、本事例を契機に、CO2-SUICOMの用途拡大を行うことにより、さらなる環境保全や環境負荷低減に貢献していく考えです。
「中野セントラルパーク レジデンス」の完成予想外観と適用部位
CO2-SUICOMは、CO2高濃度環境中でCO2を強制的に吸収・反応させた養生方法(強制炭酸化養生)によりコンクリートを製造することが最大の特長です。コンクリートの主原料であるセメントの一部を特殊混和材と置き換えることにより、セメント製造時に排出されるCO2を削減できます。さらに、この特殊混和材はCO2と反応することで、コンクリートを緻密化・硬化させる性質を持ち、普通コンクリートに比べて大幅なCO2排出量の削減効果(264kg/m3)が得られます(CO2排出量を実質ゼロ以下)。
CO2-SUICOMの製造時におけるCO2削減量
また、バルコニーなど長期間に亘って外気に曝される部位では、中性化により鉄筋コンクリートの劣化が生じる懸念があります。CO2-SUICOMは緻密であるため、CO2やO2などの外気がコンクリート内部に入りにくく、躯体コンクリートの保護に有効な材料です。
建築分野に初めてCO2-SUICOMを適用するにあたって、CO2-SUICOMのCO2削減効果、高強度、耐久性などの特性を確保しつつ、建築部材に求められる様々な性能を満たすために、次の技術開発を行いました。
「中野セントラルパーク レジデンス」にCO2-SUICOM を適用しました。適用部位はバルコニー天井部で、プレキャスト製の大型の薄板形状のPCF(3985mm×1305mm×40mm)として採用しました(72ピース、約375m2)。
施工状況
■場 所 : 東京都中野区
■規 模 : 鉄筋コンクリート造 地上5階、延べ1,748m2、高さ18.47m(最高19.22m)
■用 途 : 集合住宅
■竣 工 : 2012年5月竣工予定
(※1)中野セントラルパーク
JR中野駅至近の警察大学校等跡地(約16.8ha)の中心部において、東京建物株式会社等が出資する中野駅前開発特定目的会社が事業主体となり進めている大規模都市開発事業。
(※2)CO2-SUICOM
CO2-Storage Under Infrastructure by COncrete Materials
CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)は、 中国電力、鹿島、電気化学工業の商標です。
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。