首都直下地震を想定したBCP訓練を実施
東日本大震災を踏まえ、復旧支援システムを再構築
鹿島(社長:中村満義)は、2012年8月30日、切迫性が指摘されている首都直下地震を想定したBCP訓練を実施しました。午前9時、東京湾北部を震源とする大規模な地震(M7.3 最大震度6強)が発生し、首都圏の交通・通信網が途絶えた状況下での初期対応活動、および発災翌日以降を想定した復旧支援活動の訓練を行いました。
建設業の生業から、いち早く業務遂行体制を整え、緊急車両用の道路復旧などをはじめ、構造物や建物の被災状況確認、復旧活動を担うには、どうすれば良いかを念頭に、訓練内容は計画されました。
まず、初期対応活動に先立ち、すでに導入している「従業員安否システム」や「建物被災モニタ」で社内被災状況を把握し、各復旧班を立ち上げました。
復旧支援活動では、社会インフラ復旧の支援要請を想定して、「協力会社連絡システム」による指示連絡や周辺道路復旧のための重機搬送までを行いました。また、東日本大震災でも課題となった、様々な支援物資や復旧資材の受入れ・管理についても、西調布にある技術研究所を物流基地と定め、施設への搬出入を行いました。さらに得意先支援として、2007年導入後、更なる運用性の向上を追求して改良を進めてきた「BCMプラットフォーム」(※)の機能を検証するとともに、得意先の被災状況や復旧対応状況の情報共有に有効であることを確認しました。
なお、今回新しい試みとして、当社開発の小型振動台「ポータ震(ぶる)」で過去の巨大地震の揺れを実際に体感することも実施しました。
(※)「BCMプラットフォーム」:
地震発生後に被災状況や復旧対応状況に関する情報を共有する「統合情報基盤」
主な訓練内容
●本部・各復旧班の立上げ訓練
発災直後には、本社ビル群が停電という想定のもと、非常用電源設備(自家用発電機)を起動させ、震災対策本部および各復旧班を本社・赤坂別館内に設置しました。IP電話(※)、MCA無線、衛星携帯電話、携帯メール連絡網など、複数の各種通信機器を活用した連絡・指示訓練を行い、本社、各拠点、被災支店においては、TV会議システムを常時接続することにより、情報の同期、共有を図りました。
(※)IP電話:当社専用のインターネット回線を利用した電話で、非常用電源を備えている。

震災対策本部の会議にて中村社長

震災対策本部の立上げ訓練
●被災情報の収集・伝達・共有訓練
大規模災害の発生時には迅速かつ的確な得意先支援が求められますが、その内容は施工中や竣工物件の調査・復旧に留まらず支援物資の提供など、広範な活動に及びます。これら得意先からの要請や対応の情報を一元的に管理し、営業、施工部門をはじめとする社内関係者で共有、フォローするために「BCMプラットフォーム」を再構築しました。
訓練では、地震発生後の施工中や竣工物件の被災状況などをシステムに入力して、各復旧班でいかに迅速に復旧支援するか検討を行いました。なお、各工事事務所では、停電によってパソコンが利用できないことを想定し、携帯電話やスマートフォンから被災情報を入力しました。
●支援物資の調達受入訓練
首都圏以外の支店においては、本社からの指示により、必要となる物資を調達する訓練を実施しました。また支援物資受入基地側の訓練として、技術研究所・西調布実験場では、施設のシャッターを、停電を想定して発電機で開閉させ、フォークリフトを使用して支援物資を受入れる環境を整備する訓練を行いました。

技術研究所で実施した支援物資の受入訓練
●社会インフラ早期復旧のための重機調達訓練
首都直下地震では、道路や鉄道などの社会インフラが被災した際、損壊箇所の応急措置や障害物の除去など、当社への復旧要請が想定されます。訓練では、主要幹線道路や高速道路などが車両通行禁止となるなか、緊急通行車両ともなる重機をグループ会社である鹿島道路から調達し、鹿島本社まで実際に自走させました。

重機の調達訓練
●その他の訓練
本訓練に合わせ、本社、支店、営業所、現場では、避難訓練や消防訓練を実施したほか、電話輻輳を想定した携帯Webやスマートフォンからの「従業員安否システム」登録訓練や帰宅困難者への対応訓練、衛星携帯電話、MCA無線訓練、非常用電源設備(自家用発電機)の起動訓練なども行いました。また、本社ビルでは、当社が開発した、地震の建物の揺れを実際に人が乗って体感できる小型振動台「ポータ震(ぶる)」を用いて、過去の巨大地震の揺れを社員が実際に体感し、有事の際に社員個人がどのような行動をとれるか考える機会としました。
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ポータ震(ぶる)の体感訓練 | 自家用発電機の稼働訓練 |