鹿島(本社:東京都港区、社長:中村満義)は、山岳トンネルの支保工の設計に関する新しい解析手法を考案し、これを反映したFEM解析プログラム「トレーシー(TRASY;Tunneling Rational Analysis with Support Yielding model)」 を開発しました。土被りが大きく、かつ、脆弱な地盤内に建設されるトンネルに新しい解析手法を適用することで、トンネルの支保工を合理化できます。
土被りが250mを超え、脆弱な地盤を掘削する音威子府トンネル(北海道開発局、現在施工中)にこの新しい解析手法を適用し、トンネル支保工の合理化を実現しました。
トンネル支保工(鋼製支保工や吹付けコンクリート)の仕様は、岩盤の程度に応じてあらかじめ決められている標準支保パターンが一般的に採用されます。しかし、断層などに代表される地質が脆弱な箇所では、個々の地質状況を反映できる数値解析(FEM解析)が用いられます。具体的には、鋼製支保工と吹付けコンクリートに発生する応力をFEM解析で求め、双方の応力が許容値を下回るように、鋼製支保工のサイズと吹付けコンクリートの強度や厚さを決定します。
図-1 鋼製支保工と吹付けコンクリート
そこで鹿島は、鋼製支保工の応力が許容値(降伏応力)に到達すると、その状態を維持しながら変形に追随し、その後は吹付けコンクリートや周辺の地盤に土圧が分散される状況をシミュレーションできるFEMトンネル解析プログラム「トレーシー(TRASY;Tunneling Rational Analysis with Support Yielding model)」を開発しました。(特許出願中 特願 2011-130236)
具体的には、当社の保有するFEM解析プログラムに鋼材の部材特性(図-4)を考慮する機能と、部材に段階的に土圧を作用させて部材の応力が許容値に到達したかどうかを逐次判定する機能を加えました。
図-4 一般的な鋼材の応力―ひずみ関係
今後は、土被りが大きいトンネルや地盤が脆弱なトンネルなど、大きな土圧が作用するトンネルにおいて、この解析手法を積極的に適用し、支保工の合理化を実現することにしています。
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。