鹿島(本社:東京都港区、社長:中村満義)は、タブレット型GPS端末を利用して、ダンプ等の運搬車両の位置をリアルタイムに把握し、交通状況に応じたルート変更指示や落下物発見等の緊急通報などの双方向連絡が可能な「スマートG-Safe」を開発し、宮城県で実施中の石巻ブロック災害廃棄物処理業務に適用しました。現在、石巻ブロックで稼働中の60台のダンプに同システムを搭載し、順調に稼働しています。今後、合計約100台のダンプに搭載を予定しています。
石巻市では、震災による鉄道の運休が今も続いており、そのため通勤車両が増加し、市内の幹線道路は朝夕に激しい渋滞が発生しています。更に、復旧・復興関連の工事車両も多く、工事の進捗に応じて交通量が大きく変動しています。また、道路復旧工事も津波被災エリア全体で計画されており、不定期かつ不確定な場所で通行止めや通行規制が実施されているため、がれき処理に関わる大量の運搬車両が、指定された経路のみを走行し続けると、渋滞を更に悪化させてしまう懸念がありました。
そこで、主要交差点での交通状況やがれき運搬車両の位置を現場事務所内の運行管理室でリアルタイムに把握し、交通渋滞や交通規制に応じてフレキシブルに運搬ルートや積み込み場の変更をドライバーに指示する「スマートG-Safe」を開発、導入しました。
本システムは、車両に搭載したタブレット型GPS端末により車両位置をリアルタイムでGPS測位を行い、その位置情報や積荷情報等を工事事務所の運行管理室に自動送信し、地図画面に一元管理することができるシステムです。また、ドライバーから簡単な操作で「渋滞」、「落下物」、「交通規制」、「浸水」などの位置情報を運行管理室に集約することができ、さらにその情報をリアルタイムに全ての車両の端末の地図に表示します。また、渋滞を回避するために、運搬ルートや積み込み仮置き場の変更を運行管理室からタブレット型GPS端末を通じてドライバーに直接指示できます。
これまで、GPS端末を利用してダンプの位置を運行管理室の地図上に一元管理するシステムはありましたが、「渋滞」、「落下物」、「交通規制」、「浸水」などの道路・交通情報をリアルタイムにドライバーと共有して、ドライバーと運行管理室が緊密に連携できるシステムとしては日本で初めてです。
本システムの主な機能は以下の通りです。
運行管理室
モニター表示例
ダンプの運転席とタブレット端末、モニター表示例
石巻ブロック災害廃棄物処理業務では、ダンプなどの運搬車両が大量に市街地内を走行することや不定期かつ不確定な場所で道路補修のための通行規制が実施されることが予想されたことから、道路状況や交通状況の情報をいち早く正確に把握し、それに対する対応を迅速に行うことを目的として、本システムを開発、導入しました。現在、落下物等を発見した場合、迅速に撤去を行ったり、制限速度の遵守など本システムが安全にがれきを運搬することに大きく役立っています。現在は、60台のダンプに導入されていますが、今後、約40台のダンプに追加導入され、合計約100台で運用していく予定です。
今後ダンプの台数が増えることで、市内各所の混雑集中や仮置き場でのダンプの待ち時間などが増えることが懸念されますが、本システムの活用により、各ダンプの運行間隔を平準化し、待ち時間を少なくすることで、周辺環境への影響を最小限に抑える車両運行にも寄与することが期待されます。
更に、今後は本システムに日報作成機能を追加するなど、作業効率にも貢献できるシステムとして更なるバージョンアップを図っていくことにしています。
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