[2012/12/20]

2ノズル吹付け機(ツインショット工法)の開発と展開

山岳トンネル施工におけるコンクリート吹付け時間を半分に低減

 鹿島(社長:中村満義)は、山岳トンネルにおける施工サイクルタイムの短縮を目指して、コンクリートの吹付け時間を半減することのできる「2ノズル吹付け機(ツインショット工法)」を開発しました(特許出願中)。2009年より実現場で適用を開始し、現在まで5現場に導入、大きな成果を上げています。その間、様々な施工条件に対応するための改良を行い、用途に応じた2つのタイプの2ノズル吹付け機を開発、様々な条件の山岳トンネルの施工に対応できる体制を整えました。
 今後も吹付けコンクリートのみならず、様々な工程における時間の短縮を図り、施工サイクルタイムの短縮化を図っていく方針です。

2ノズル吹付け機(タイヤ式)
2ノズル吹付け機(タイヤ式)

2ノズル吹付け機(ツインショット工法)の概要と特徴

 山岳トンネルにおいては、施工のサイクルタイムを短縮することは、工期短縮、コスト縮減に直結する重要な課題であり、トンネルの長距離化、大断面化が進む近年、サイクルタイムの短縮は大きな課題となっています。特にNATMで施工する場合は全体サイクルの中で吹付けコンクリートの施工時間が占める割合は2割程度と比較的大きなものとなっています。
 そこで当社は2009年、吹付け作業時間を短縮することを目的に、エレクタ付き2ノズル吹付け機を開発しました。具体的には、2ノズル2ポンプ方式により、吹付け能力20m3/時を実現し、吹付け作業時間は従来マシンとの比較で約50%の時間短縮を実現しました。
 吹付け量が2倍になるため、粉じんの増加への対応が課題となりましたが、電気化学工業の「デンカクリアショットシステム(注)」の採用により解決することができました。デンカクリアショットは、酸性液体急結剤と粉体助剤を吹付けノズル直前で混合しコンクリートに添加することで、液体急結剤と同等の低粉じん・低はね返り性と高い急結性を実現した吹付けシステムです。
 このデンカクリアショットシステムとの組み合わせで、2009年の初適用を皮切りに、新幹線断面でも稼働できるようにコンパクト化を図り、地盤の悪いトンネルに適用可能なクローラ式も加えて、これまでに5現場で6台が導入され、サイクルタイムの短縮に大きく貢献しています。
 2ノズル吹付け機はデンカクリアショットと組み合わせることで、高速施工が低粉じんで行え、サイクルタイムの短縮のみならず、支保効果の早期発現にも大きく寄与しており、山岳トンネル工事の安全性も向上する結果となっています。
  (注)クリアショットは電気化学工業株式会社の登録商標です。



2ノズル吹付け機(タイヤ式) 2ノズル吹付け機(クローラ式)
2ノズル吹付け機(タイヤ式) 2ノズル吹付け機(クローラ式)

今後の展開

 鹿島では、吹付け時間を半減することができるこの2ノズル吹付け機を積極的に全国の山岳トンネルに適用していくと共に、他の工程においても急速施工の実現を目指して、更なる施工サイクルタイムの短縮を推し進めていく方針です。


プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。