鹿島(社長:中村満義)は、独自の杭頭半固定技術であるキャプリングパイル工法を改良し、(財)日本建築センターの一般評定を更新しました。今回の改良により、コスト削減、施工性向上、適用範囲拡大等を図ることが可能となりました。
1995年の阪神淡路大震災では、多くの建物の杭頭部に破壊事例が報告され、杭頭への応力集中を緩和する工法の開発が必要になりました。当社は杭頭半固定工法のキャプリングパイル工法を開発し、2002年12月に(財)日本建築センターの一般評定を取得しました。
杭頭部の納まりの良さとコスト削減効果が評価され、その後10年で、当社のみならず社内外の300現場で20,000本を超える杭に適用され、杭頭接合法の一般工法として広く認知されてきました。
キャプリングパイル工法は、杭頭に接合部材(PCリング)を載せ、このPCリングから伸びた定着筋を建物のパイルキャップ部(いわゆるフーチング)と一体化します。これにより、PCリングを介して地震時に生じる上部構造からの地震力を杭に伝達させる構造となっていて、杭頭を半固定とすることで杭頭に集中する地震時の応力が緩和できるため杭材の損傷を軽減できます。このキャプリングパイル工法は、既製杭や場所打ち杭に拘らず全ての杭に適用でき、設計・施工が簡単で、品質も安定し、コストパフォーマンスに優れた工法です。
《経済性》
半固定であることから地震時の杭頭応力が小さくなり、杭材を軽減出来るとともに杭頭応力を負担する基礎梁の応力と断面の低減が可能になるので、基礎躯体と掘削土量も軽減出来ます。地盤状況にもよりますが、一般的に杭頭固定の場合と比べて10%程度の基礎工事費を削減できます。
![]() | ![]() |
写真1. キャプリングパイル工法 | 図1. 杭頭固定とキャプリングパイル工法 |
![]() | ![]() |
写真2. 杭頭固定の場合の実験例 | 写真3. 本工法の実験状況 |
![]() | ![]() |
写真4. 既成杭の場合 | 写真5. 場所打ち杭の場合 |
数多くの実績を重ね、より施工性を向上させることとコストの更なる低減を狙い、以下の改良を行いました。
![]() | ![]() |
写真6. 従前のPCリング | 写真7. 新型PCリング |
![]() | ![]() |
写真8. 47階建の超高層免震集合住宅への適用事例 | 図3. テンキャップパイル工法 (引抜き力抵抗用) |
杭頭接合法では、当社が先駆けとなり評定取得後10年で全国に展開を進め、数多くの実績を重ねてきました。このキャプリングパイル工法を用いた建物では東日本大震災においての被害はなく高い安全性が認められています。今後、適用案件をさらに増やし、地震による杭頭部の被害を更に軽減し、より安全安心な建物づくりに貢献してまいります。
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。